おやぢの部屋2
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2018年 10月 28日 ( 1 )
A Simple Song
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Anne Sofie von Otter(MS)
Bergt Forsberg(Org)
BIS/ SACD-2327 (hybrid SACD)


スウェーデンが誇る名歌手、アンネ・ソフィー・フォン・オッターが歌う歌曲集。バックでは彼女の長年のスウェーデン人のパートナー、ベンクト・フォシュベリがピアノではなくオルガンで参加しています。そう、このアルバムは、オリジナルのオルガン伴奏による作品も含めて、1曲を除いてすべてオルガンがメインで伴奏しているというユニークなものでした。
そのオルガンが、ストックホルムにある聖ヤコブ教会にある楽器だと知って、ちょっと懐かしい思いに駆られています。同じBISレーベルで1993年にリリースされたデュリュフレの「レクイエム」(オルガン・バージョン)などを収めたアルバムが、やはりこの教会で録音されていたのですよ。それは、合唱がとても澄み切った響きでお気に入りでした。
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CD-602

その時の録音セッションの写真がこれです。
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それは確かに、今回のジャケットのバックになっているオルガンと同じものでした(ブックレットの裏表紙に、もう少し遠景の写真があります)。
なんでも、この教会はオッターにとっては若いころからのお馴染みの場所で、ここの合唱団に所属していて、バッハの「ヨハネ受難曲」のソロ(「Es ist vollbracht」でしょうか)を初めて歌ったところなのだそうです。
この楽器、一見、バロックオルガンのようなファサードですが、作られたのは1976年、実際はデュリュフレにはとてもマッチしたフランス風の響きのする楽器だったような記憶があります。それが、今回、まさにそのデュリュフレの「レクイエム」からのメゾ・ソプラノのソロ・ナンバー「Pie Jesu」をオッターが歌っていたのには、感激です。録音も今回は別物のようにクリアになっていますから、そのオルガンのフランス風のビブラート(「Vox Humana」というストップ)がはっきりと聴こえてきます。クレッシェンドやディミヌエンドも出来るようなので、スウェルの機構もあるのでしょう。そこに彼女の朗々とした声が加わって、とても情熱的なデュリュフレを味わうことが出来ます。
ここで選ばれている作品は全部で17曲ですが、その最初と最後にクラシックではなくミュージカル・ナンバーが歌われているのが目を引きます。最初はバーンスタインの「ミサ」からアルバムタイトルでもある「A Simple Song」ですが、そこではオルガンの他にエレクトリック・ギターとハープ、そしてシャロン・ベザリーが吹くフルートが加わります。ここでのベザリーは、いつものあくの強い押し出しはあくまで控えて、オブリガートに徹している吹き方でなにか安心できます。彼女が参加しているのはこの1曲だけという贅沢なキャスティングです。
そして、最後を飾るのが、ロジャース/ハマースタインの「サウンド・オブ・ミュージック」から、ミュージカルの中では修道院長が歌うナンバー「Climb Ev'ry Mountain」です。彼女の声にはピッタリですね。
ここでは、マーラーの作品も2曲歌われています。それぞれ「子供の不思議な角笛」のテキストで、いずれも交響曲の中で歌われているもの。まずは「3番」に登場する「Es sungen drei Engel」と、「2番」の「Urlicht」です。彼女の声はとても素敵ですが、やはりこれをオルガンだけで演奏するのは、かなりしょぼいものがあります。しかも、それがフランス風の音色なのは、ちょっと抵抗があります。
もっとも、メシアンやプーランクの歌曲の伴奏にはまさにうってつけの楽器です。メシアンの「Trois mélodies」はピアノ伴奏の曲ですが、それがオルガンによって奏されると彼の和声がより魅力的に聴こえてきます。
アルヴォ・ペルトの作品もそれぞれオリジナルの編成で2曲取り上げられています。したがって、「Es sang vor langen Jahren」ではオルガンは入らず、ヴァイオリンとヴィオラによる伴奏です。もう一つの「My Heart's in the Highlandd」は、元々はカウンターテノールとオルガンのための作品、2000年の作品ですが、歌は同じ音だけを延々と歌うとてもシンプルな曲です。そんな、スタティックなアプローチでの彼女も、素敵です。

SACD Artwork © BIS Records AB

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by jurassic_oyaji | 2018-10-28 21:53 | 歌曲 | Comments(0)