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2018年 12月 01日 ( 1 )
BEETHOVEN/9 Symphonies
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Herbert von Karajan/
Anna Tomowa-Sintow(Sop), Agnes Baltsa(MS)
Peter Schreier(Ten), Jose Van Dam(Bas)
Berliner Philharmoniker
DG/073 5557(BD-A)



ベートーヴェンが生まれたのは1770年ですから、再来年の2020年は生誕250年となります。ということは、今から50年ほど前、1970年ごろにも、同じような盛り上がりがあったということになりますね。
ベートーヴェンの祖国、ドイツのレーベルのドイツ・グラモフォン(DG)は、その期間、1970年から1977年にかけて、なんと4種類もの交響曲ツィクルスの録音を行っていたのです。それは、カール・ベームとウィーン・フィル(1970-1972)、ラファエル・クーベリックと、「9つ」のオーケストラ(1971-1975)、ヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィル(1975-1977)そしてレナード・バーンスタインとウィーン・フィル(1977-1979)によるものでした。
さらに、この4つのツィクルスの、最初のベーム盤以外の3セットでは、その当時の流行だった「4チャンネル(クワドラフォニック)」で録音されていたのです。
ただ、当時はそのシステムの再生環境に問題があったため、それらのレコードが本来の4チャンネルでリリースされることはありませんでしたが、最近のマルチチャンネル再生技術の成熟に伴って、新たにSACDやBD-Aによる「サラウンド」として日の目を見ることになりました。
その最新のカラヤン盤には2チャンネル・ステレオ、5.1サラウンドの他に「ドルビー・アトモス」の音源まで含まれています。
カラヤンがこの録音を完成させるまでには3年かかっています。それは、1975年の1月に始まりますが、その年にはそれ1回だけ、それから1年以上間を空けて、1976年の5、9、10、12月とセッションが持たれ、1977年には1月から3月まで毎月のセッションというスケジュールになっていました。これだけの期間をかけて、カラヤンはすべての交響曲を2度ずつ録音したのだそうです(実際は「6番」は1回のセッションだけでした)。そして、その中からよい方を選んで、「製品」としたのでしょう。
ここで注目したいのは、その最初のセッションの時期です。当時はジェームズ・ゴールウェイがフルートの首席奏者として在籍していましたから、このセッションには参加していたはずです。彼はその年の7月にはベルリン・フィルを退団しますし、そもそもその前の3月からは、カラヤンにシカトされてカラヤン以外の指揮者の時しか乗っていないはずですから、これはカラヤンとベートーヴェンの交響曲を録音できた「最後のチャンス」でした。
このブックレットでは、初出のLPの全集には付いていたであろうメンバー表と、その時のメンバーのパートごとの写真が復刻されていました。それによれば、確かにゴールウェイの名前はあります。
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しかし、写真にはその姿はありません。
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これは、1976年以降に撮影されたものでしょうから、ゴールウェイの後釜(というか、前任者)のツェラーしか写ってはいません。
その1975年に録音されたのは「1番」と「2番」です。そのときには、確かにゴールウェイは録音に参加していました。しかし、この2曲はそれ以降も何度となくセッションがもたれています。ですから、例えば「1番」では、第1楽章から第3楽章まではゴールウェイが吹いているように聴こえますが、第4楽章はブラウのように聴こえますね。
そのほかにも、「9番」では第1楽章はツェラーのようですが、第4楽章はブラウなのでは、という気がします。
そんな、なんとなく一貫性がないような内容だと思えるかもしれませんが、カラヤンの指揮そのものには不動のポリシーが宿っていますから、そんなことには左右されない一貫性が保たれています。それは、どんなときにも休まずに突き進むという音楽です。常に何かに急かされているという感じ、場合によっては息苦しくもなってしまうような疾走感こそが彼の信条だったことがよくわかります。
そして、あくまで華やかな金管や、ティンパニなどは、サラウンドで再生されたことによってさらに空間的な広がりが増し、その熱気がストレートに伝わることになったのです。それは、なんと空虚な音楽なのでしょう。

BD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH

by jurassic_oyaji | 2018-12-01 23:46 | オーケストラ | Comments(0)