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2019年 05月 04日 ( 1 )
BLAKE/The Snowman, PROKOFIEV/Peter and the Wolf
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Ken Dodd(Narr)
James Devlin(Boy Sop)
Liverpool String Quartet
RUBICON/RCD 1035



去年の11月にイギリスでリリースされたアルバムですが、国内では大手のショップでは取り扱っていなかったので、なかなか入手できませんでした。
聴きたかったのは、なんと言ってもハワード・ブレイクの「The Snowman」です。ご存知のように、これの元になったのはイギリスの絵本作家レイモンド・ブリッグスが1978年に出版した絵本です。クリスマスの夜に起こった、スノーマン(雪だるま)と少年(名前はありません)との不思議な物語が、クレヨンを使ったソフトなタッチで描かれていて、キャプションが一切入っていません。
それが、1982年にテレビ用のアニメになりました。その時のサウンドトラックの音楽を作ったのがハワード・ブレイクだったのです。もちろん、絵本同様このアニメでもセリフは全くありません(ただ、冒頭にデヴィッド・ボウイが案内役として登場しています)から、それらはインスト曲なのですが、唯一スノーマンと少年が空を飛ぶ場面で、「Walking in the Air」という作曲家自身の歌詞によるチューンがボーイ・ソプラノによって歌われます。アニメの中ではピーター・オーティによって歌われていましたが、その3年後にアレッド・ジョーンズが歌ったバージョンが大ヒットし、なんと、UKチャートで5位まで上り詰めたのです。
その後、この曲はキングズ・シンガーズなど多くのアーティストにカバーされ、世界中で知られるようになりました。かつてのフィルハーモニア管弦楽団の首席フルート奏者ケネス・スミスのアルバムでも演奏されていましたね。そして、これは個人的な感想ですが、最近放送されている、かつて子供のころに一緒に遊んだ雪だるまが、家の中に入った途端に融けてしまうという斎藤工の空調のCMは、このアニメへのオマージュではないかと思うのですが、いかがでしょうか(雪だるまがお饅頭みたい)。
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原作では、家の中に入ってきた雪だるまは、ちょっと融けそうになるので冷凍庫に入って一息ついていましたね。そして、次の朝には、本当に融けてしまっていたのでした。
このアニメは映画館でも上映され、DVDやBDにもなって、クリスマス・プレゼントの必須アイテムとなっています。その音楽は、シンフォニア・オブ・ロンドンの演奏によるオーケストラ・バージョンでしたが、それをこのCDでは、ハワード・ブレイクによって弦楽四重奏に編曲されたものが演奏されています。さらに、アニメにはなかったナレーションが、イギリスの伝説的なコメディアン(この録音の後、90歳で亡くなっています)、ケン・ドッド(ダッド)によって語られています。
正直、この音楽はアニメの映像を完全に補助する役割を持っているものですから、映像のないCDで音楽だけを聴くのは、たとえ前に絵本やアニメを見たことがある人にとってさえ、ちょっと間抜けという気がします。ですから、このナレーションはそのあたりのギャップを埋めてくれるために重要な働きを担っています。このドッドさんの暖かい口調は、とても素敵にその役割を果たしています。
弦楽四重奏のためのリダクションですから、オリジナルに比べてどうかなという危惧はあったのですが、このナレーションによって、アニメと同質の思いを感じることが出来ました。途中で歌われる「Walking in the Air」も、素朴な味には好感が持てます。
そして、カップリングが、やはり弦楽四重奏のために編曲された、プロコフィエフの「ピーターと狼」です。このアレンジは、パネラ・マッコネルというヴィオラ奏者と、ここで演奏しているリヴァプール弦楽四重奏団が行っています。
これも、オリジナルと全く同じナレーションが、ドッドさんによって語られています。面白いのは、当たり前ですが最初の「楽器紹介」のコーナーで、オリジナルの楽器が全て弦楽器に置き換えられているということでしょう。そして、唯一弦楽器では演奏できない狩人のティンパニは、チェロ奏者が楽器を叩いてそのパートを演奏しています。

CD Artwork © Rubicon Classics

by jurassic_oyaji | 2019-05-04 22:12 | 室内楽 | Comments(0)