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2019年 05月 18日 ( 1 )
RACHMANINOFF/Piano Concerto No.2, SAINT-SAËNS/Piano Concerto No.2, etc.
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Artur Rubinstein(Pf)
Eugene Ormandy/
The Philadelphia Orchestra
DUTTON/CDLX 7336(hybrid SACD)



このDUTTONの「4チャンネル」復刻シリーズで、かなり早い時期、2017年にリリースされていたのが、このアルトゥール・ルービンシュタインのピアノ協奏曲集です。大酒飲みだったんですね(それは「アルコール」)。1887年に生まれ、1982年に亡くなった往年の巨匠ルービンシュタインは、SP時代の1928年から引退する1976年まで、RCAに優に100枚を超えるおびただしい数のアルバムを残していましたが、ここでは1969年と1971年という80歳を超えてからの最晩年にオーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団とともに録音された2枚のアルバムが1枚のSACDとなっています。
まずは、1969年の「4チャンネル」録音です。正確なセッション日は1969年1月2日ですから、もうこの時期にはこの録音方式が確立されていたことになりますね。確かに、COLUMBIAによるマイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」の録音も同じ年でしたね。
リリースされたのは1970年になってからですが、このSACDのデータによると、その時にはアメリカでは普通の2チャンネルステレオ盤しか出ておらず、その「4チャンネル」盤は、日本でだけ出ていたようですね。なんせ、この「CD-4」という方式は日本のビクターが開発したものですから、大々的にそれを盛り込んだ豪華ダブルジャケットで発売されたのだそうです。
ここで演奏されていたのはサン=サーンスのピアノ協奏曲第2番と、ファリャの「スペインの庭の夜」です。この時のルービンシュタインは81歳でしょうか。サン=サーンスの終楽章のタランテラなどは全く衰えを感じさせない颯爽たる演奏なのには驚かされます。
この録音は、音のクオリティとしては、例えば同時期のイギリス・デッカなどに比べたらまだまだ発展途上の感があります。そして、サラウンドの音場設定ですが、これまで聴いてきたフロントに弦楽器、リアに管楽器というこのレーベルのものとは大きく異なっています。確かに、そのような傾向は見られるものの、全ての楽器がほぼフロントとリアの真ん中あたり、つまりリスナーのいる場所に集まっているのです。ですから、そこではまるでヘッドフォンで聴いているような、耳のすぐそばに音場が広がるという感覚を味わうことになります。正直、スピーカーで聴いていてこれだけ音に密着させられるのは、なにか煩わしさを感じてしまいます。
それが、1971年のラフマニノフになったら、俄然すっきりした音場が広がるようになっていましたし、音のクオリティもワンランク上がっていました。ピアノは、リスナーの少し前に定位していて、それを囲むようにフロントに弦楽器と木管楽器、リアに金管楽器と打楽器という配置です。木管は弦楽器よりはすこし手前に設定されていて、第2楽章のフルート・ソロなどは、ピアノと一体になって聴こえてきます。
ただ、ジャケットの録音現場の写真などを見る限り、実際にそのような楽器配置がなされていたわけではありません。あくまで普通のコンサート用の配置で演奏したものをマルチトラックで録音して、それをミキシングでこのように定位させていたのでしょうね。
この頃になると、ルービンシュタインのテクニックには明らかに衰えが見られるようになっています。第3楽章あたりは、かなり遅めのテンポ設定になっているのに、なかなかついていけないようなところも見られてしまいます。しかし、それはそれで、機械のように弾きまくる昨今のピアニストからは絶対に感じられない「枯れた」味わいがあるのではないでしょうか。
そして、そのピアニストを支えるオーマンディのオーケストラのコントロールの巧みさには、恐れ入るしかありません。彼は、ルービンシュタインにぴったり寄り添って、包み込むように音楽を作り上げています。それでいて、そのオーケストラにはたっぷり歌わせることも忘れてはいません。終楽章に出てくる2つ目の有名な甘美なテーマがヴィオラで出てくる時のフレージングなどは、ため息が出るほどの美しさです。

SACD Artwork © Vocalion Ltd

by jurassic_oyaji | 2019-05-18 20:38 | ピアノ | Comments(0)