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2019年 05月 28日 ( 1 )
STRAUSS/Ein Heldenleben, BRAHMS/Alto Rhapsody
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Yvonne Minton(MS)
Lorin Maazel/
Ambrosian Singers
The Cleveland Orchestra, New Philharmonia Orchestra
DUTTON/CDLX 7347(hybrid SACD)



1977年にマゼールが当時音楽監督を務めていたクリーヴランド管弦楽団と行った「英雄の生涯」の「4チャンネル」録音です。この頃になると、この録音方式のブームには陰りが見られるようになりました。たとえば、あのカラヤンは1970年代にはDGとEMIという2つの大レーベルに「二股」をかけていて、そのうちのEMIからは、かなりの数の「4チャンネル」のLPをリリースしているのですが、それは1978年1月の録音分で終わっていて、それ以降はEMIとの契約は続いているのに、もう普通のステレオのみになってしまいます。まあ、この時期はデジタル録音がメジャーレーベルでも実用化され始めますから、カラヤンの関心はそちらに移っていたのかもしれませんが。
しかし、マゼールはまだまだこの方式には大きな可能性を期待していたのでしょうか。今回のSACDには、オリジナルのジャケットを飾ったこんな写真を見ることが出来ます。
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これは、まさにこの数年前にブーレーズがニューヨーク・フィルと行った「4チャンネル」録音と同じスタイルではありませんか。あの時とは微妙に配置が異なっていますが、指揮者の周りをプレーヤーが囲んでいるというのは同じです。
そのオリジナルのライナーノーツも、ここでは復刻されていました。それは、この作品の解説だったのですが、そこには「英雄の生涯」は「ソナタ形式」で出来ていると書いてあるのですね。そもそも、この作品についてはそんなに思い込みはないので、あまり深い知識はありませんでした。一応、6つの部分に分かれていて、それぞれに「英雄のなんたら」というサブタイトルが付いている、ぐらいは知ってましたから、それぞれの部分は、単にそういう設定を描写したものだ、と思っていました。今回改めて聴いてみると、確かに、その6つの部分は見事にソナタ形式の第1主題、経過部、第2主題、展開部、再現部、コーダに呼応していましたね。シュトラウスは、こうして曲を作っていたのでしょう。
しかし、そのようなサブタイトルはスコアには全く記されてはいないことも、最近知ることが出来ました。確かに、シュトラウス自身がそのようなものを表明したことはあったのですが、最終的には、それこそマーラーの「交響曲第1番」のように、全ての「表題」を取り去っていたのでした。ですから、現在では作曲家の意思とは離れて、慣例としてその表題がコンサートのプログラムやCDのライナーを飾っているということになるのでしょう。もっとも、ワーグナーの「ライトモティーフ」でも、それを「発見」したのはあくまで後の研究者で、作曲家自身はそんな言葉すら使ってはいなかったのですから、それと同じことなのかもしれませんね。
マゼールは、このサラウンドの音場を目いっぱい利用して、スペクタクルな音楽を展開していました。特に、普通の録音ではあまり目立たないハープは、本来は2台のところを4台に増員しています。それは、リアの右と左にくっきりと分かれていて、フレーズを受け継ぐ様子までがきっちり聴こえてきます。
そのハープは、確かに上の写真では指揮者の後ろにありますが、写真ではその右側にある木管群が、録音ではリアの左から聴こえてきます。これまでの録音でも見られたことですが、RCAの場合はミキシングの際に大幅に定位を操作しているのでしょう。ですから、弦楽器も写真では全て指揮者の前に並んでいますが、実際には曲の冒頭でチェロやコントラバスが右後方から聴こえてくるというサプライズが待っています。いわゆる「英雄の戦場」でのトランペットのバンダも、はるか後方から聴こえてきます。
カップリングが、ロンドンで録音されたニュー・フィルハーモニア管弦楽団との、ブラームスの「アルト・ラプソディ」です。これは、アメリカでの録音とは全く異なるしっとりとしたサウンドでした。そして、音場もリアは残響だけで、楽器も合唱も全てフロントに半円状に広がるというノーマルなものでした。

SACD Artwork © Vocalion Ltd

by jurassic_oyaji | 2019-05-28 23:26 | オーケストラ | Comments(0)