おやぢの部屋2
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SCHUBERT/Oktett
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Isabelle Faust, Anne Katharina Schreiber(Vn)
Danusha Waskiewicz(Va), Kristin von der Goltz(Vc)
James Munro(Cb), Lorenzo Coppola(Cl)
Javier Zafra(Basson) ,Teunis van der Zwart(Hr)
HARMONIA MUNDI/HMM 902263


シューベルトはその31年と10か月余りの生涯で1000曲以上の作品を産み出しました。もちろん、その中で大多数を占めるのは600曲ほどの歌曲ですが、それ以外にも幅広いジャンルで作品を残してくれました。ただ、ロマン派の作曲家の常で、独奏楽器ではピアノや弦楽器のための作品に比べると、管楽器のためのものは極端に少なくなっています。シューベルトよ。管楽器のための「ソナタ」を、そなたは1曲も作っておらぬではないか(江戸時代か)。
確かに、1813年には八重奏「メヌエットとフィナーレ」(2Ob,2Cl,2Hr,2Fg)と九重奏「アイネ・クライネ・トラウアームジーク(小さな葬送曲)」(2Cl,2Fg,CFg,2Hr,2Tb)というマイナーな曲はありますが、普通に多くのCDが出ているものしては、フルートとピアノのための「しぼめる花変奏曲」と、弦楽五重奏にクラリネット、ホルン、ファゴットが加わった「八重奏曲」の2曲しかありません(これらは、1824年の1月と2月に続けて作られました)。ですから、オーボエ奏者と金管楽器奏者にとっては、シューベルトが作ったまともな曲はないということになりますね。
この「八重奏曲」は、クラリネットの名手だったフェルディナント・トロイヤー伯爵からの委嘱によって作られました。彼のリクエストはその頃大人気を誇っていたベートーヴェンの七重奏曲をモデルにしてくれ、というものでした。シューベルトは、そこで同じような楽章編成をとりますが、楽器はヴァイオリンを2挺にしています。
大好きな曲なので、今まで多くの演奏を聴いてきましたが、今回のイザベル・ファウストたちの録音では、全てピリオド楽器が用いられている、というのがポイントです。もちろん、今まで聴いてきたのは全てモダン楽器による演奏でしたから、楽しみです。
ブックレットにはしっかりそれぞれの楽器や製造された年が書いてあります。もちろん管楽器はこの曲が初演された当時に作られた楽器か、そのコピーですね。中でも、お馴染みのクラリネット奏者のロレンツォ・コッポラは11キーのB管と6キーのC管を使っています。聴く人が聴けば、その音色の違いも分かることでしょう。
ファゴットのハヴィエル・ザフラが使っている楽器は「バスーン(bassoon)」と書いてありますが、製作者が「Triebert(トリエベール)」というフランス人なので、「バソン(basson)」なのでしょうね。
この二つの楽器がモダン楽器とは全く別の音色です。バソンは今のファゴットのような存在感は少ない代わりに、見事にアンサンブルに溶け込んでいます。5曲目のメヌエットのトリオで、最初にバソンがソロを吹いて、それがクラリネットに引き継がれるのですが、その違いがほとんど分からないほどでしたからね。さらに弦楽器もガット弦のノン・ビブラート、もう今までとは全く異なる世界が広がります。
もちろん、音色だけではなく、その表現も今まで聴いてきたものとは全然違います。なんと言っても最初に聴いたのが「ウィーン情緒」たっぷりのものでしたから、そんなものとは全く無縁のファウストたちの演奏は、刺激の連続です。いや、基本的に彼らは楽譜に忠実に演奏しているだけなのですけどね。ただ、それこそ「情緒的」なオブラートでくるむようなことは一切せずに、その楽譜の指示を誰が聴いても分かるように演奏していることで、「今まで」とは違ったものが生まれている、という不思議なことが起こっているわけなのですよ。
具体的には、徹底したアクセントの強調とダイナミクスの変化です。特にコッポラの本当に聴こえるか聴こえないほどのピアニシモと、ファウストのすすり泣くようなノンビブラートは、それこそ涙が出てくるほど魅力的です。
ところで、いつも言ってますが、最後の楽章のテーマは、絶対この赤枠の部分が余計です。
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カップリングで、珍しい弦楽四重奏のためのメヌエットをこの八重奏の編成に直して演奏していますが、その編曲がとても素敵です。

CD Artwork © harmonia munde s.a.s.

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# by jurassic_oyaji | 2018-05-22 22:54 | 室内楽 | Comments(0)
もちろん、お店の中はスタジオです
 朝ドラの公式サイトを覗いてみたら、スタジオのセットの写真などがたくさん掲載されていましたね。特に、前にも書いた萩尾家のリビングのセットなどは、なかなか興味深いものでした。ただ、そこにはステレオの再生装置はまだ置かれていなくて、壁に「レコード」だけが飾ってありましたね。その「レコード」は、まぎれもないSP盤、レーベルは「POLYMBIA」ですって。分かる人は分かりますよね。
 ですから、そのうち秋風先生のお屋敷のセットもここに登場するのでは、と期待しているところです。
 それと、オープンセットも紹介されていましたね。あの商店街は絶対にスタジオではないと思っていましたが、あれほどのオープンセットを作るのは大変だったろおなあ、と思っていたのに、あれは実際の商店街を模様替えして使っていたんですって。最近はそういうこともやるんですね。もちろん、普段はその家の人は生活しているのですから、いろいろ問題がありそうですが大丈夫だったのでしょうかね。あるいは、それこそ「聖地巡礼」の観光客のためならば、と、説得されたとか。
 その商店街がある場所がちゃんと書いてあったので、その岐阜県まで行って、同じ場所を写真に撮ってきましたよ。
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 これがセット。
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 これが実際の場所です。地味ですね。
 あとは、新聞販売店の看板についてかなり触れられていたので、そのセットと
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 現物です。
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 もう一品。
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 この雑貨屋さんは、
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 民芸品屋さんでした。
 お気づきでしょうが、こんな飛騨の山奥まで実際に行くわけがなく、ちゃんとGoogleのストリートビューがあったのでそれを使っただけです。まあ、ここで撮影が行われていたころのこの商店街の喧騒は、すごかったのでしょうね。
 でも、今頃は本当に観光客が押し寄せているかもしれませんね。
 このサイトでは、Twitterで最新の情報を流しているようでした。これにだけは手を出すまいと思っていたのですが、ここまで一般化してしまうとアカウントぐらいは持っていないと何かと不便なのでは、と思うようになっています。
 実際に、コンサートの感想などを集めるのには重宝するだろうな、とは思いますね。そこで、さるブログで新国立劇場でのカタリーナ・ワーグナーの演出がひどすぎるという書き込みがあったのでTweetを集めてみたら、確かにみんながひどいと言っていましたね。私も、これは出来たら見に行きたいな、と思っていたのですが、わざわざ行かなくて正解だったようです。
 それにしても、Tweetの中にあったカタリーナの写真にはびっくりしましたね。
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 昔はこうでしたよ。
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 それが、いつの間にこんなただのデブになってしまったのでしょう。
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# by jurassic_oyaji | 2018-05-21 22:26 | 禁断 | Comments(0)
BACH/ Magnificats
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Joélle Harvey(Sop), Olivia Vermeulen(MS)
Iestyn Davies(CT), Thomas Walker(Ten), Thomas Bauer(Bas)
Jonathan Cohen/
Arcangelo
HYPERION/CDA68157


「バッハのMagnificats」と複数形になっているのがミソです。もちろん、ヨハン・セバスティアン・バッハは「マニフィカト」は1曲しか作っていませんから、「バッハ」の方も複数形。つまり、ここではそのバッハの先妻の息子カール・フィリップ・エマニュエル・バッハと、後妻の息子ヨハン・クリスティアン・バッハがそれぞれ作った「マニフィカト」も一緒に演奏されている、ということになるのですね。「三大マニフィカト」、かと
セバスティアン・バッハの作品は、もちろんニ長調の「改訂稿」による演奏です。なぜ、改訂される前の変ホ長調の稿でないのかは、いずれ分かります。
これは非常に有名な作品なので聴く機会も多いのですが、今回のアルカンジェロの演奏は、そのどれとも異なるユニークさを持っていました。以前同じ団体の「ロ短調」を聴いた時に感じたのは、ここの合唱団は決してそれぞれの声をきれいにまとめようとはせずに、一人一人の個性を前面に出すという歌い方に徹しているなという点でした。今回もそれと同じ路線で突き進んでいくのですが、その度合いはさらに増しているようで、バッハを歌っていながらその中からはクラスターのようなテイストが感じられてしまったのですよ。具体的に言えば、彼らがメリスマを歌っている時には、それがあたかもリゲティの「レクイエム」の中のどこかのフレーズと共通したような味わいが聴こえてきたのですね。こんなブキミなバッハがあっていいのか、と思ってしまいますが、それがなにかとてもしっくりと来るんですね。2世紀半近くを隔てても、音楽の本質は変わっていない、と。
セバスティアンの息子エマニュエルが作った「マニフィカト」は、父親の作品よりも規模が大きくなっていました。時間で言うと、25分のものが40分までに拡大されています。もちろんテキストは全く一緒ですが、それらを個々の曲に割り振るところも違っています。
実は、この作品は以前もこちらで聴いていたことがありました。その時はそれが「世界初録音」ということだったので、かなり珍しいものなのだな、と思っていたのですが、今回確かめてみるとそれ以前に録音されていたものが続々と出てきました。それは「初録音」だったのが1749年に作られた「初稿」だったからで、その後1779年に再演された時に大幅に改訂された「改訂稿」は別に珍しいものではなかったようで、いくらでも録音があったのですね。
改訂されたものは楽器編成が大幅に変わっていて、トランペットとティンパニが加わりサウンドがガラリと別物になっていました。それと、3曲目の「Et misericordia」が全く別の曲に差し替えられています。今回のアルカンジェロの演奏では、一応改訂稿で演奏されているのですが、この「Et misericordia」だけは初稿のものが使われていました。確かに、この曲は元からあったものの方が格段にクオリティが高いような気がします。
以前も言及しましたが、エマニュエルの作品には父親の作品に対するオマージュが至る所で感じられます。調性もニ長調ですし、この改訂稿で加えられたトランペットとティンパニの感じもそっくりです。6曲目の「Deposuit」などはまさに父親のパクリですし。
最後の合唱の「Sicut erat in principio」は堂々たるフーガ、ここのメリスマでも、やはりリゲティが顔を出していました。何よりも、トランペットのド派手な演出には圧倒されてしまいます。別の演奏ではそれほどのインパクトはなかったので、これもおそらくアルカンジェロ独自のアプローチだったのでしょう。
この改訂稿が作られるより前の1760年に作られていたのが、クリスティアン・バッハの作品です。異母兄弟のエマニュエルとは20歳の年の差がありますが、その間に音楽は全く別の様式に変わっていたことを、まざまざと感じられるほど、これは「古典派」然とした音楽です。
ソリストで、テノールの人がかなりアバウトな歌い方なのが気になります。バスの人はとてもドラマティックなのに。

CD Artwork © Hyperion Records Limited
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# by jurassic_oyaji | 2018-05-20 19:30 | 合唱 | Comments(0)
さいわい、一命はとりとめました
 朝ドラの秋風先生のお宅には、何種類ものオーディオ・システムがあるようですね。今日の回では、その中の3つのものが紹介されていました。
 まず、よく登場していたのが、メインの仕事部屋。先生が座っている椅子の背後に真空管アンプだけが良く見えますね。そのほかのパーツは、まだ見つけられていません。
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 そして、次に現れたのは、先生のプライベート・ルームでしょうか。そこでは、実際にLPをかけてくれましたね。
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 このLPのレーベルはおそらく何かのでっち上げでしょうね。朝ドラの小道具ではよくやる手法。そして、このプレーヤーにもなにやらブランド名が見えますが、これも実存しないものなのでしょう。ただ、このプレーヤーは間違いなく「一体型」で、アンプの操作パネルと、チューナーのメーターが前にあるという、非常に珍しいタイプです。だいたいこのタイプだとプレーヤーの右側につまみやメーターが付いているものが多かったような気がします。というか、これはいったいどこのメーカーの製品なのでしょう。一生懸命画像検索をやってみましたが、全くヒットしませんでした。流れていたのは「亡き王女のためのパヴァーヌ」でしたね。いかにも秋風先生。
 かつて、朝ドラの中の「カフェ・ドミンゴ」で流れたクラシックの曲を集めたCDが出たことがありますが、今回も「秋風先生のお宅から流れるクラシック」みたいな企画があったりするのでしょうか。というか、まだ「ショパン」は聴こえていなかったような気がしますが。
 そして、もう1つ、こちらも大き目なプライベート・ルームでしょうが、ペットのパネルの後ろにアンプ群が見えますね。LUXMANあたりでしょうか。
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 そして、スピーカーがかなり離れたとことに置いてありましたね。
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 これは、どうもタンノイのようだな、と思って検索したら、見事に見つかりました。
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 タンノイ・プレステージ・サンドリンガム、ペアで40万円ぐらいですが、2005年には製造停止になっているのだそうです。
 腹が立つことがあった時には、こんなどうでもいいことに精を出すに限ります。狭心症の人の心臓の冠動脈にカテーテルを使ってステントを埋め込むという手術を見学したのですが、順調に行っていたはずのものが、ワイヤーが血管を突き破ってしまったために、手術は中止、患者はそのままICUに運ばれるというありえない(1000分の1の確率だとか)現場に遭遇して、なかなか冷静にはなれずにいます。
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# by jurassic_oyaji | 2018-05-19 20:05 | 禁断 | Comments(0)
今年の冬に公開予定
 先日、知り合いが「アイネクライネナハトムジーク」のエキストラとして、撮影に参加してきたそうです。長町のゼビオアリーナでボクシングの試合をやっているシーンなんですって。その時に、彼女は「この本にボクシングなんか出て来たっけ?」と聞くものですから、私は答えに困ってしまいました。彼女には私は熱心な読書家というイメージがあるようで、そんな映画になるような本だったら当然読んでいるはずだ、という前提の上での質問だったのでしょうね。
 ですからその時は、私は「井坂幸太郎はあんまり好きじゃないからね」とごまかしておきましたよ。まあ、こんな人気作家を「好きじゃない」というんだから、やはり只者ではない、というイメージを彼女に与えることには成功したのではないでしょうか。
 別にウソをついたわけではなく、彼の本はまだ1冊も読んだことはありませんが、それを原作にした映画は何本か見ています。それこそ仙台を舞台にした「ゴールデン・スランバー」あたりは、別の知り合いがエキストラで出ていましたからね。
 ただ、それらの映画は、なんかイマイチ面白くありませんでした。一応ミステリーなのでしょうが、その「謎」がかなりいい加減に思えたんですよね。「どうしてそうなるの?」と思ったシーンばかりが目についてしまいました。「ゴールデン・スランバー」では、整形手術でしょ?あれは反則ですよ。
 でも、「アイネ~」の場合はミステリーではなくラブストーリーだという情報があったので、それだったら読んでみてもいいかな、と思って読み始めました。
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 なにしろ、この表紙ですからたまりませんね。仙台の人だったらすぐわかる場所ですし、もしかしたらこれが書かれた年代だって分かってしまうかもしれませんね。あの高層ビルを建設している途中で、工事用のクレーンなんかがありますからね。
 もちろん、本の中にもこのシーンは登場します。そして、よく見ると向かいのビルの壁にボクシングの映像が見えますね。これが、ゼビオアリーナで撮影することになるシーンなのでしょうか。
 読んでみると、これは正確にはそのシーンではありませんでした。でも、ボクシングの試合が重要なモティーフになっていることは確かです。つまり、ボクシングの試合は2回(もしくは3回)行われていて、その最後の試合のシーンがゼビオアリーナだったんですね。
 この本は、オムニバス形式の短編集でした。それぞれの話が独立して一応完結しているものが、それぞれ何らかのポイントで相互につながりを持っている、という作り方がされています。そういう意味では、やはり「ミステリー」の要素も残している、ということになるのでしょうね。ですから、私が読んで「これは!」と思ったのも、そんなちょっとミステリーっぽいお話でした。というか、これはまんまと引っかかってしまったな、というM的な快感がありましたね。こういうのは大好きですから。
 ですから、最後までその調子で、しっかりだましてくれるのだろうと期待して読み進むのですが、どうもそこまでの仕掛けはないようなんですね。まあ、仕掛けと言えば、同じ「嘘」で急場をしのぐというシチュエーションが別々に登場して、その関係が分かるというのはありますが、これは私にしたら完全に外してしまったな、としか思えませんでしたからね。
 まあ、これだったらわざわざ時間を取って読むほどのものではありません。この作家に対する私のスタンスは間違ってはいませんでした。
 後日、彼女にまた会った時には、そのエキストラのシーンの話で盛り上がりましたね。私の話を聞いて、彼女はやっとそのシーンの意味が分かったようでした。また少し株が上がったかも。
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# by jurassic_oyaji | 2018-05-18 21:04 | 禁断 | Comments(0)