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カテゴリ:ポップス( 122 )
RAY CONNIFF/Concert in Rhythm Vol.2, The Perfect "10"Classics
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COLLECTABLES/COL-CD-7878



レイ・コニフのオリジナルアルバムは当然LP、当時のポップスのアルバムは1曲が3分程度のヒット曲を12曲ぐらい収録したものですから、トータルで30分ちょっとしかありません。ですから、1枚のCDにアルバムが丸々2枚分収まってしまいます。それが、いわゆる「2 on1」というCDです。
そういうCDが、レイ・コニフの場合は2002年にCOLUMBIA系のCOLLECTABLESというレーベルからかなりのアイテムがまとめてリリースされました。その後も、2005年頃まで散発的にリリースが続きます。その時点で、もう後はないだろうと判断して、そのあとはチェックを怠っていたら、今回偶然2008年にリリースされていたCDを見つけました。当然、今まで持ってなかったアルバムが2枚分収録されていました。こんなこともあるんですね。
余談ですが、そのレーベルのロゴマークには、「オートチェンジャー」がデザインされています。
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今回の2点は、レイには珍しい「クラシック」を素材にしたアルバム。1960年にリリースされた「Concert in Rhythm Vol.2」と、1980年にリリースされた「The Perfect "10" Classics」です。1958年には「Concert in Rhythm Vol.1」が出ていますから、全部で3枚の「クラシックのカバー」があるのですね。常々、カタログでこの3枚のラインナップを眺めて、ぜひ聴いてみたいと思っていましたから、これはまさに掘り出し物でした。
この2枚のアルバムには、録音時期に20年の隔たりがあります。ポップスの世界は、この20年の間に劇的に変わってしまいました。1960年代までの音楽の主流はスウィング・ジャズでしたが、1980年代には、それはロックに取って代わられます。つまり、使われるリズムが「4ビート」から「8ビート」に変わってしまったのです。
そんな中で、レイの音楽もやはり時代に対応して、そのスタイルを変えてきました。この2枚のアルバムでは、1枚目では4ビートだったものが、2枚目では見事にすべての曲が8ビートでアレンジされるようになっていたのです。
さらに、1枚目はもう半世紀以上前に作られたものですから、その時にカバーの対象とした「クラシック」にも、今の時代とは少し嗜好のギャップを感じざるを得ません。なんせ、12曲のうちの4曲が、全く知らない曲だったのですからね。
つまり、「クラシック」とはいっても、決して普遍的な音楽ではなく、その時代に即した「流行」というものが厳然と存在している、ということに気づかされたのですね。誰でも知っている曲をカバーする、というのは、ポップス界の鉄則ですから、当時はそんな曲が良く聴かれていたのでしょう。
最後に入っているのが、プッチーニの「蝶々夫人」のアリア「ある晴れた日に」です。それが壮大なオーケストレーションで聴こえてきたときに、映画「慕情」のテーマ曲「Love is a Many Splendored Thing」とそっくりだと思ってしまいました。「安来節」ではありませんよ(それは「どじょう」)。
調べてみたら、この映画自体が「蝶々夫人」をモデルにしていて、テーマ曲もそれに沿ったコンセプトで作られていたそうですね。勉強になりました。
そして、1980年のアルバムには、「インターナショナル・バージョン」と「ヨーロッパ・バージョン」の2種類が存在しています。それぞれ曲の順番が異なるのと、1曲だけ別の曲に入れ替わっているのですね。今回のCDでは、「インターナショナル」を基本にして、ボーナストラックとして「ヨーロッパ」で差し替えられた曲がプラスされていますから、全ての曲が聴けることになります。
「インターナショナル」にしか入っていなかったラヴェルの「ボレロ」が、エンディングなどもかなり原曲に忠実なのには感心しました。それと、ドヴォルジャークの「ユモレスク」が、前回の「ベサメ・ムーチョ」のような適度の「崩し」があって、好きですね。さすがに「道化師」の「衣装を付けろ」はちょっと無理がありますが。
レイは2002年に亡くなりました。そろそろ「ヒップ・ホップ」が席巻してくるころですね。そんな時代まで長生きしなかったのは、幸せでした。

CD Artwork © Sony BMG Music Entertainment

by jurassic_oyaji | 2019-06-27 21:44 | ポップス | Comments(0)
Greatest Hits of the '70s
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Arthur Fiedler/
Boston Pops
VOCALION/CDLK 4598(hybrid SACD)



DUTTON/VOCALIONのSONYの音源によるサラウンドSACD復刻シリーズ、今回はCOLUMBIAではなくRCAの原盤。今では一つの企業になってしまったので、このように同じレーベルからSACDがリリースされるようになっていますが、この2つのレーベルはかつては敵同士でした。昔のSPレコードから、長時間レコードに変わる時も、ステレオレコードが出来た時も、ことごとく競いあっていましたね。
当然「4チャンネル」時代でもライバル同士として対抗意識を燃やしていたのでしょうね。結果、COLUMBIAはSQ、RCAはCD4(QSも?)と、それぞれ全く互換性のない方式を採用することになったようです。それぞれの方式は日本のメーカーの技術がメインになっているのが面白いですね。
アーサー・フィードラーが指揮をしたボストン・ポップスは、このRCAレーベルの花形アーティストでした。なんと言っても、このコンビは1930年から1979年まで、ほぼ半世紀も続いていたというのですからすごいですね。これだけの長期政権を保った指揮者は、レニングラード・フィルの常任指揮者をやはり50年ほど務めていたムラヴィンスキーの他にはいないのではないでしょうか。
ということは、フィードラーはSPからLP、そしてステレオ録音を経て、最後にはこの4チャンネル録音も実践できたということになりますね。もしかしたら、実験的にデジタル録音もやっていたかもしれないので、まさにレコード史上の全てのフォーマットを体験していた稀有な指揮者ということになります。
今回のSACDは、1973年と1974年にリリースされた1970年代のヒットソングを集めた2枚のアルバム(Vol.1、Vol.2)を全て収録した「2 on 1」です。彼らが一体何枚のアルバムを出していたのかは分かりませんが、このように少なくとも年に1枚はコンスタントに当時のヒット曲を収録したアルバムがリリースされていたのでしょうね。
ただ、「ポップス」とは言っても実際に演奏しているのはクラシックのオーケストラですから、基本的に古典を録音する時と同じ姿勢が貫かれています。実際に録音会場もボストン交響楽団の本拠地のシンフォニーホールで、そこでは豊かなホールトーンをたっぷり取り込んだゴージャスなサウンドを楽しむことが出来ます。
そんなサウンドで最初に聴こえてきたのが、Vol.1の1曲目、テクノポップのはしりとも言える「ポップコーン」でした。典型的な「ピコピコ」のサウンドで、あの「電気グルーヴ」もカバーしていたぐらいなのですから、これをオーケストラで演奏するという発想がすごいですね。
もちろん、このメインテーマはピチカートで演奏されていました。しかし、そのバックにホルンの壮大なオブリガートが入ってくると、それは紛れもないオーケストラサウンドに変わります。中間部の流れるようなサブテーマも、今度はアルコのストリングスが華麗に迫ります。
さらに、Vol.2の1曲目、バリー・ホワイトの「愛のテーマ」も、この曲の必須の隠し味であるワウワウペダルによるギターのカッティングを、あくまで「オーケストラ」の楽器であるトランペットとスネアドラムで模倣させていましたね。そう、まさにボストン・ポップスとは「ポップス」を素材にして「オーケストラ」の魅力を存分に知らしめるというプロジェクトだったのです。そのためには、たとえミスマッチだと思われる素材でも果敢にオーケストラサウンドでねじ伏せる、というのがこのオーケストラの信条だったのでしょうね。
最近は、このオーケストラを耳にする機会があまりないような気がしますが、それはもはやそのような扱いに耐える誰でも知っている「素材」であるヒット曲がなくなってしまったからなのかもしれませんね。ほんと、今は隆盛を誇っているヒップホップなんて40年後にはどうなっているのでしょう。お尻の美容は大切なのに(それは「ヒップアップ」)。
サラウンドの音場設定は、まるで木管楽器セクションの真ん中に座ってオーケストラを聴いている感じ、なんかなじみのある聴こえ方で、リラックスできます。

SACD Artwork © Vocalion Ltd

by jurassic_oyaji | 2019-04-16 23:26 | ポップス | Comments(0)
Portrait
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竹内まりや
ARIOLA/BVCL 944



竹内まりやのデビュー40周年は盛り上がってますね。先日もNHKでドキュメンタリーが放送され、アイドル時代の貴重な映像などを見ることが出来ました。ソバージュの髪にバブリーなメイクというあの時代が反映されたまりやの姿には、なにか痛々しいものがありました。
こちらのRCA時代、つまりアイドル時代のアルバムのリマスターシリーズも、最後の1981年10月にリリースされた5枚目でめでたく完結です。ファーストアルバムが1978年11月のリリースですから、丸3年の間に5枚のアルバムが作られていたのですね。まさに「アイドル」ならではの量産体制でした。
もちろん、それらはアナログのLPでした。ちなみに、後のWARNER時代になると、最初の「Variety」(1984)と2枚目の「Quiet Life」(1987)はLPとCDが同時に発売されましたが、それ以降はCDのみでのリリースになっていたはずです。
すでにRCA時代の全タイトルはCD化されていて、リイシューまでされていました。ただ、それらはオリジナル通りの曲目しか収録されていなかったというのが、今回のシリーズとの違いです。いや、「リマスタリング」されているではないか、とおっしゃるかもしれませんが、はっきり言ってこれはそんなに音が変わるものではありません。変わっているのは音圧が上がっていることだけなんですから、何のメリットもありませんよ。
ですから、このシリーズでは、ボーナストラックとしてライブ音源などが「おまけ」で付いているのと、能地祐子さんというライターさんによる書き下ろしのライナーノーツが毎回掲載されていること、そして価格がいくらか安くなっているのが「メリット」、ただそれだけのことです。
ただ、そのライナーが、なかなか興味深い内容で、特にまりやの「アイドル」から「シンガー・ソングライター」への変遷の細かい段階がつぶさに記されているのが、資料としてとても貴重です。先ほどのNHKのドキュメンタリーでは決して取り上げないような細かいところまで、しっかりフォローしていますからね。
能地さんは、単に記録を調べるだけではなく、自らが1ファンとしてまりやを「追っかけ」ていたことがある世代ですので、そのリアルタイムな体験に裏付けられた文章はとても説得力をもって迫ってきます。
このアルバムの、それまでとの最大の違いは、アメリカでのレコーディングが行われていないということでしょう。それらのトラックは、明らかに国内での録音とは違和感がありました。さらに、今回は山下達郎の関与が大幅に増えていることが、次のステップへの伏線となっていることが如実に感じられます。それは、まりや自身がライナーの中で具体的な「Variety」の中の曲との相似性を指摘していますからね。
ドキュメンタリーによると、まりやが他のアーティストに提供した作品は全部で100曲を超えるのだそうです。これはすごい数ですよね。あのビートルズでさえ、全ての作品は200曲ほどしかありませんから。その最初の作品というのが、このアルバムに収録されている、アン・ルイスのために作った「リンダ」なんだそうです。一聴してポールとポーラの「ヘイ・ポーラ」を参考にしたと分かる曲ですが、これは彼女の創作の原点がこの時代のポップスであることの証でしょう。
これは後のベストアルバム、1994年の「Impressions」や2008年の「Expressions」でも聴くことが出来ていましたが、それらは諸事情によってリテイクされたものであることを、今回初めて知りました。アレンジは全く一緒ですから今まで気づきませんでした。確かに、コーラスのクレジットが、ベストアルバムでは山下達郎だけになっていますが、このアルバムでは他にまりや自身とプロデューサーの宮田茂樹さんが加わっています。ですから、聴き比べてはっきり分かるのはそのコーラスの違いだけです。1994年の達郎の一人アカペラの方が、きれいにハモってはいますが、1981年バージョンでは何かライブ感のようなものがある、と言った感じでしょうか。

CD Artwork © Sony Music Labels Inc.

by jurassic_oyaji | 2019-03-30 21:19 | ポップス | Comments(0)
PRELUDE, DEODATO 2
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Deodato
VOCALION/CDSML 8532(hybrid SACD)



DUTTON/VOCALIONのサラウンドSACDのラインナップには、なんとCTIレーベルのアイテムもありました。この「フュージョン」の先駆けともいえるレーベルは、倒産してCBSに原盤が移っていて、今ではSONYからリリースされていますから、こんなことが可能になったのでしょう。さっそく、デオダートの「PRELUDE」と「DEODATO 2」の2 on 1を入手してみました。消臭剤ではありません(それは「デオドラント」)。いずれも、かつてはしっかり4チャンネルのLPでもリリースされていたものです。
CTIレーベル創設時からアレンジャーとして活躍していたブラジル出身のジャズ・ピアニスト、エウミール・デオダートが1972年に最初に自身の名義で発表したのが「PRELUDE」です。これは、日本でのタイトルが「ツァラトゥストラはかく語りき」とあるように、そのリヒャルト・シュトラウスの作品をカバーしたものがメインになっています。ただ、それはあくまでその冒頭のほんの20小節ほどのファンファーレの部分だけをメインテーマとして採用した1968年の映画「2001:A Space Odyssey」のサントラからの引用にとどまっています。
その「2001」では、オリジナルではオルガンの超低音で始まる冒頭部分に、まずはメンバーの自由なソロで混沌のシーンが入っています。これは、おそらく映画のオープニングをイメージしているのでしょうね。そこにいきなりリズムが入ってきて、ブラスでファンファーレのテーマが出てきます。その後半でシンコペーションによってリズムが変えられているのが、「ジャズ」としてのアイデンティテイなのでしょう。
このアルバムはLPが手元にあったので、しっかり今回のSACDと比較してみたのですが、まず音の繊細さはまさにLP並みのものがあったのには驚きました。もちろん、こちらはサラウンドですから、それぞれの楽器の存在感はさらに増しています。さっきのブラスは、リアの左から聴こえてくるので、それまでのバンドとは別の世界であることが如実に感じられます。そして、そのあとにストリングスが加わっていることも、LPでは分かりづらかったものがサラウンドではリアの右からはっきり聴こえてきます。
このストリングスは、次のトラック、デオダートのオリジナルの「Spirit of Summer」というジャズ・ワルツのけだるい曲でも使われています。これも、LPではあまり存在感がなかったものが、SACDでははっきり粒立ちまで聴こえてきます。
ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」のカバーでは、ヒューバート・ローズのフルートが、まずあのテーマをそのまま演奏しています。とは言っても、そこからはフランス印象派のテイストは全く消えていて、あくまでジャズの中に風変わりな半音階を持ち込んでみた、といった感じですね。ですから、それを受けたベースのロン・カーターは、とことん「音痴」にそのテーマを奏でています。そのあとに、デオダートが珍しくアコースティック・ピアノで、ここだけはドビュッシーの和声に忠実に演奏しているのが、逆にとても印象的です。
カップリングの「2」は1973年のアルバム、まともに聴いたのは初めてです。これは、サウンド的には前作と大きく変わっていました。まずは、デオダートが、前作はほとんどフェンダー・ローズがメインだったものが、ここでは大幅にARPの「プロ・ソロイスト」というシンセサイザーをフィーチャーしているのですね。それは、1曲目のムーディ・ブルースのカバー「Night in White Satin」の冒頭で出てきます(最初聴いた時には、ヒューバート・ローズがアルトフルートを吹いているのだと思ってしまいました)。
そして、次にラヴェルの「亡き王女の他のパヴァーヌ」では、前作では控えめだったストリングスが、人数も大幅に増えて壮大なサウンドを提供していました。ここではリズムは一切入らず、その厚ぼったいストリングスをバックに、デオダートがほぼ原曲通りにピアノを演奏しています。
最後には、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」が、やはりゴージャスなアレンジでカバーされていました。

SACD Artwork © Vocalion Ltd

by jurassic_oyaji | 2019-03-23 20:01 | ポップス | Comments(0)
miss M
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竹内まりや
ARIOLA/BVCL 943



アイドル時代の竹内まりやの4枚目のアルバムです。リリースされたのは1980年12月でした。前作「Love Songs」のリリースから9ヶ月のインターバル、まさに「アイドル」ならではの量産体制でした。
まずは、このジャケットに注目。これ以前の3枚のジャケットでは、いずれもまりや自身の写真がフィーチャーされていましたが、ここにはそのような「アー写」はなく、「M」という文字をモティーフにした抽象的なデザインになっています。
リアルタイムでこのアルバムに接したことはありませんし、その後のベストアルバムでの案内では本当に小さな画像しか見ることは出来なかったので、ここに使われている画像はいったい何なのかという疑問がずっとありました。今回、LPサイズではありませんが一応写真の詳細が分かるジャケットを見てみると、どうやらこれは「編み物」だったことが分かりました。つまり、こういうニットのセーターかなんかがあったので、それを撮ったものなのでしょう。
と思ったら、ライナーにはこれは「橋本治さんの作品」とあるではありませんか。つい先日お亡くなりになった、1977年に「桃尻娘」でデビューした小説家ですね。というより、その前のこんなイラストで、一躍注目を集めていた方でした。
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橋本さんは、このころは「編み物男子」としても広く知られていました。まりやのマネージャーが知り合いだったのでこれを作っていただいたのだそうですね。
これ以降のアルバムでは、ベスト盤やライブ盤を除いては、全てまたまりやのアー写がジャケットを飾ることになりますから、これはアートワークとしては非常にユニークなものとなっています。一応「裏」にはまりやの写真もありますが、これはまるで別人のようですね。
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アルバムの構成としては、オリジナルのLPの「A面」はLAのスタジオで録音されたもの、「B面」は東京のスタジオで録音されたものと、きっちりとコンセプトが分けられています。それは、A面のタイトルがすべて英語表記であることでさらに強調されているのでしょう。
1曲目の「Sweetest Music」などは、シングル・カットもされていてお馴染みの曲ですが、曲もあちらのヒット・メーカーが書いたもの、それを一流のスタジオ・ミュージシャンをバックに歌い上げるまりやは、まさに「洋楽」のアーティストそのものです。ホーン・アレンジも素敵、リズムもそれぞれのプレーヤーの個性までもが感じられるグルーヴに満ちています。
山下達郎が作り、自身でもカバーしている「Morning Glory」も、やはりカッコいいLAのサウンドがとても魅力的です。コーラスだけは東京で入れていますが、何の違和感もなく溶け込んでいますね。5曲あるこのパートには、すべてそんな「洋楽」感があふれていて、感無量です。日本のアーティストもようやくここまで来たのか、と。
それがB面になったとたん、いきなりアイドル然とした「Jポップ」感に変わります。冒頭の「二人のバカンス」もやはりシングルでしたが、林哲司の曲とアレンジは、洗練された緻密さはあるもののなにかチマチマしていて、A面では確かに感じられたおおらかさは全くなくなっていました。
この面の残りの3曲は、全てまりや自身の曲と歌詞による作品です。そこからは、明らかにアイドルとは一線を画した「プロ」のソングライターとしての意気込みはしっかり感じることはできますが、それはまだ手探りの段階、という気もします。最後の「Farewell Call」などは、明らかに強い志は感じられるものの、スキルが伴っていないな、というもどかしさがひしひしと伝わってきます。というより、この大袈裟な歌い上げは、後の「人生の扉」という愚作にもつながるものだったのではないでしょうか。
ボーナストラックでは、リリースの翌年の8月に行われたコンサートのライブ録音が収められています。そこでは「Sweetest Music」も演奏されていますが、バックのホーンがきっちりアルバムのコピーを決めているのがすごいですね。

CD Artwork © Sony Music Labels Inc.

by jurassic_oyaji | 2019-03-05 22:53 | ポップス | Comments(0)
Love Story, Happy Sound of Ray Conniff
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Ray Coniff and the Singers
VOCALION/CDLK 8553(hybrid SACD)


このところ夢中になっているDUTTON/VOCALIONのサラウンドSACDですが、そのカタログにはなんと「レイ・コニフ・シンガーズ」のアルバムがありました。
このグループのリーダーのレイ・コニフはもともとはジャズのトロンボーン奏者でしたが、編曲の腕を見込まれて多くのバンドで編曲に携わっていました。それが、1955年にコロムビア・レコード(CBS)でA&Rとして活躍していたミッチ・ミラー(自身も男声合唱団を率いてアーティストとしても有名)の目に留まり、その年にシングル・レコードをリリースすることになります。それは、ビッグバンドにコーラスが加わるという、それまでにはなかった画期的なスタイルで、スタンダード・ナンバーを演奏するというものでした。コーラスは歌詞は歌わず、楽器の一部としてホーン・セクションとユニゾンでスキャットを歌っていたのです。
これは大ヒット、翌年にはアルバムもリリースされ、結局レイ・コニフ自身が亡くなる2002年までに100枚以上のアルバムが制作されることになるのです。
そんなにたくさんのアルバムを作れたのは、演奏されていたのがオリジナルではなくほぼすべてがカバー曲だったためです。それは、初期にはスタンダード・ナンバーでしたが、やがて最新のヒット曲を直ちにカバーするようになり、それらはイージー・リスニングとして多くの人に支持されました。
その編曲は、あくまでもさわやかでハッピーなものでした。リズムもきっちり8ビートで統一され、コーラスはあくまでそのタイトなリズムの上で、適度にジャジーなシンコペーションやフェイクを加えたメロディを歌っています。それはバックのオケのホーンと見事にシンクロして、軽快なグルーヴを醸し出しています。
録音も、それこそ「ミッチ・ミラー合唱団」譲りのたっぷりエコーがかかったゴージャスな仕上がりです。ですから、1970年代にはこのレーベルの戦略だった「4チャンネル」の波に乗って、多くのアルバムがノーマルLPとクワドラフォニックLPの2種類のフォーマットでリリースされていたのも当然です。エンコードはもちろん「SQ」でしょうね。
ネットで検索したら、当時のCBSソニーがSQ4チャンネルのデモ用に作ったコンピレーションアルバムが見つかりました。その中に、このレイ・コニフのトラックもあったので、おそらく日本でも実際に4チャンネルのアルバムがリリースされていたのでしょう。
昨年から今年にかけて、DUTTON/VOCALIONからそのレイ・コニフの4チャンネルのアルバムが、マルチチャンネルSACDで何枚かリリースされました。アルバム自体はすでに多くのものがCD化されていて、それらは2枚のLPを1枚のCDに収録した「2 on 1」でした。ほとんどのアルバムは11曲ぐらい入って30分程度の収録時間ですから、CDなら余裕で2枚分は入ってしまいますからね。
今回も、カップリングは変わっていましたが、やはり「2 on 1」で、1971年に録音された「Love Story」と、1974年に録音された「Happy Sound of Ray Conniff」という2枚のアルバムが全て入っています。
いずれも、すでにCDで持っていたものですから簡単に比較できますが、その違いは歴然たるものでした。もちろん、コーラスはリアに定位していたり、時折フロントにも一部が残って掛け合いをするなどというサラウンドならではの魅力があるのは当たり前ですが、音自体がCDとは比べ物にならないほどクリアに変わっていたのです。
最初に彼らを聴いたのは、LPによってでした。その、特に外周付近のトラックは、とてもヌケが良くてスピーカーのセッティングのテストなどによく使っていたものでした。ところが、それがCDになった時には、なんとものっぺりとした音になってしまっていたので、がっかりした記憶があります。それが、今回のSACDではまさに最初のLPの音に戻っていたのですよ。
LP並のクオリティとサラウンド、もうすっかりCDが色あせて見えるようになってしまったので、残りの3枚のSACDも全部買ってしまいました。これは、かつてなかったほどの幸せな出来事です。

SACD Artwork © Vocalion Ltd

by jurassic_oyaji | 2019-02-28 21:33 | ポップス | Comments(0)
LOVE SONGS
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竹内まりや
ARISTA/BVCL 942



竹内まりやのRCA時代のアルバム、今回は1980年にリリースされたサード・アルバムです。このころは、「SEPTEMBER」と「不思議なピーチパイ」というシングルヒットが相次ぎ、テレビの歌番組でヘビーローテーションになっていましたね。このアルバムも、オリコンチャートで1位になったのだそうです。
そのぐらいの活躍をしていたのですから、当然「紅白」には出演していただろうと思っていましたが、どうやらそれはなかったようです。やはり、一応「アイドル」はやっていましたが、そのような一線を超えることはなかったのでしょう。
このアルバムは、その2曲のシングルを中心に、LAで録音されたトラックや、「SEPTEMBER」で初めて歌詞を提供した松本隆の新作、さらにはまりやのオリジナルなど、とてもヴァラエティ豊かな曲が収録されています。そして、何よりも、まりや自身の歌が、前作とは見違えるほどにうまくなっているのが、注目されます。
LA録音は全部で5曲、もう名だたるスタジオ・ミュージシャンがバックを務める超豪華な布陣で、1曲目の「FLY AWAY」は曲もアメリカのヒットチャートをにぎわすような人が書いたオリジナルですから、すごいですね。もちろん歌詞も英語、まりやはものおじもせずに堂々と歌いきっています。ただ、録音的には彼女のヴォーカルに安っぽいエコーがかかっていて、声自体もちょっと安っぽく聴こえてしまうのが残念です。
2曲目の「さよならの夜明け」は、まりやの詞に山下達郎が曲をつけた(実際は、その逆で、達郎のメロディにまりやが詞を乗せた)という、このチームによる最初の作品です。これもアレンジと録音はLAの面子、ここでのヴォーカルはなんとダブル・トラックになっていました。彼女の声はストレートで十分にパワーがあるのに、LAのエンジニアは余計なことをしてくれたものです。これらには現地のメンバーによるコーラスが入りますが、そちらの方がメインに聴こえるようなバランスになっているのも、なんだか、という感じです。ただ、サウンド的にはその方が成功しているのがちょっと皮肉。このコーラスのノリの良さは絶品です。6曲目の「LONELY WIND」では日本語の歌詞にも挑戦していますし。
3曲目からの3曲は、全て松本隆の詞による新曲です。新進気鋭の「作詞家」となっていた松本の、なんとも青臭い歌詞が、ちょっとまりやの声とは違和感を誘います。
7曲目の「恋の終わりに」と、8曲目の「待っているわ」は、詞も曲もまりやによる作品です。彼女のソングライティングのスキルが、格段にアップしていることが如実に分かる秀作です。特に、もろディスコ風にアレンジされた「恋の終わりに」には、後の彼女の作品のエキスがほとんど含まれているのではないでしょうか。
そして、アルバムの目玉、「SEPTEMBER」と「不思議なピーチパイ」がシングル・バージョンそのままで登場します。いちおう「SEPTEMBER」の前にコーラスのジングルが入りますが、本体はシングルと全く同じものです。「ピーチパイ」のコーラスのクレジットに「宮田茂樹」という名前がありますが、これは当時のディレクターだった方ですね。実は、「SEPTEMBER」のコーラスアレンジも、クレジットはEPOになっていますが、実際はこの方が行っていたそうです。
本当に聴きなれたこの2曲、アレンジもストリングスを多用したゴージャスなものですが、今回のリマスターではそのストリングスがえらくキンキンした音に聴こえます。例によって昔のCDのレベルを上げて比べてみたのですが、明らかにそのころにはあったふくよかさがなくなっていて、それを高域を上げて修正しているようでした。もちろん、それはマスターテープの経年劣化を物語るものです。
ボーナス・トラックのライブ・バージョンには、やはりパーソネルの名前はありませんでした。1981年の録音だというのに、アルバム・バージョンとは全く異なる重みのある声になっているのには、驚かされます。

CD Artwork © Sony Music Labels Inc.

by jurassic_oyaji | 2019-01-24 20:43 | ポップス | Comments(0)
UNIVERSITY STREET
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竹内まりや
ARIOLA/BVCL 941


1979年5月にリリースされた、竹内まりやのセカンド・アルバムの、リマスタリングによる初めてのリイシューです。オリジナルはファースト・アルバムからきっちり半年後のリリースだというあたりに、この時期のまりやの置かれたスタンスがにじみ出ていまりや。ここには「女子大生」を「アイドル」としてデビューさせ、矢継ぎ早にシングルやアルバムを作って稼げるうちに稼ごうというレコード会社の思惑がはっきり表れてはいないでしょうか。
そう、彼女はこのころはまだ大学生でした。結局アイドル活動と学業との両立はできずに中退することになるのですが、この、もろ「大学」という単語が入ったタイトルのアルバムではそんな「大学」がらみの曲を最初と最後に置いて、彼女の「学生」としての立ち位置を主張しているようです。
1曲目の「オン・ザ・ユニヴァーシティ・ストリート」は、彼女自身の作詞作曲。「長く短かった4年の月日が終わる」と歌っています。ライナーノーツの中の現在の彼女の言葉によれば、これは「卒業できませんでした、というお知らせ」だったのだそうです。
そして最後の曲が「グッドバイ・ユニヴァーシティ」。これも歌詞は彼女自身の英語によるものです。その中では、「I'm starting to cry」と、卒業と同時に分かれる恋人なのか、あるいは不本意な形で去ることになった大学なのかはわかりませんが、その悲しみを歌っているようです。
そんな風に、前作では彼女のオリジナル曲は1曲だけでしたがここでは作詞だけのものも含めれば3曲に増えています。そのクオリティも、正直シロートの域を出ていなかった前作の収録曲に比べると、格段にアップしていることも分かります。このあたりから、彼女のソングライターとしての資質が本格的に開花していったのでしょう。ただ、そうは言ってもメージャー・セブンスというカッコいいコードで始まる「涙のワンサイデッド・ラヴ」などは、1967年にフランシス・レイが作った「パリのめぐり逢い」という映画音楽とそっくりなんですけどね(のちの「駅」も、ダニエル・ビダルのヒット曲のパクリと騒がれます)。
そして、同様に前作では1曲提供していただけの山下達郎の存在感が、ここでは格段にアップしています。作詞、作曲、編曲のすべての面で深く関わるようになっているのですね。特に、シングルヒットした「ドリーム・オブ・ユー~レモンライムの青い風~」をアルバムに収録する際に達郎が大幅に編曲し直したバージョンは、いかにもアイドル然としたシングル・バージョンとは雲泥の差のカッコよさです(フルーティストの名前がクレジットされていませんが、これは中川昌三さんでしょうかね)。ボーナス・トラックに、その瀬尾一三のアレンジが収録されていますから、それはすぐに聴き比べることが出来ます。
前から聴いていたベスト盤にあった「J-Boy」は、このオリジナルアルバムではやはり編曲が違っていました。そして、ボーナス・トラックにそのライブ・バージョンとして入っていたのが、聴きなれたものでした。これは逆に、まあ、聴きなれていたということもあるのでしょうが、曲を作った杉真理が編曲したアルバム・バージョンよりも、青山徹という人のバンド・アレンジの方が数段練れていると思えます。というか、杉はアルバムで曲も提供していますが、彼のセンスは、あまり好きではありません。
例によって、1982年にLPがリリースされた2年後にCD化されたベスト盤と、今回のリマスター盤との音の比較です。先ほどの「J-Boy」は、新たにリミックスされていたようで、楽器の定位が変わっていました。音そのものは、ブラスの生々しさがちょっと失われています。そして、達郎バージョンの「ドリーム・オブ・ユー」では、やはりブラスがかなり甘くなっています。「涙のワンサイデッド・ラヴ」では、とても気になった冒頭のヴォーカルのドロップアウトが、かなり修復されていたようです。

CD Artwork © Sony Music Labels Inc.

by jurassic_oyaji | 2018-12-27 23:31 | ポップス | Comments(0)
Gospel Christmas
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Chris Turner(Pf), Jerry Harris(Bass), Rodrick Nightingale(Dr)
Northwest Community Gospel Chorus(by Gary Hemenway)
Charles Floyd/
Oregon Symphony
PENTATONE/PTC 5186 720(hybrid SACD)



あくまで音が売り物、基本的にリリースはSACD、もちろん全てマルチチャンネル対応でサラウンドも楽しめるアイテムというとてもうれしいポリシーを貫いているこのPENTATONEレーベルは、スタート時には本拠地のオランダでちまちまと制作を行っていた印象がありますが、最近ではヨーロッパだけではなくアメリカでの録音も行っていて、リリース数も格段に増えているようですね。
そんな、アメリカでの録音の際のプロデューサーが、グラミー賞も受賞したことのあるブラントン・アルスポーです。このサイトでは、彼が制作したサウスダコタ・コラールのアルバムを何枚かご紹介したことがありましたね。
今回の彼の手になるアルバムもやはり合唱がらみのアメリカ録音です。アーティストは「ノースウェスト・コミュニティ・ゴスペル・コーラス」。
名前の通り、この合唱団は「ゴスペル」の団体です。全員がセーラー服を着て歌います(それは「コスプレ」)。いや、彼らが着ているのは、あのおなじみのガウンですけどね。このアルバムでのメンバーは90人、それが、フル編成のオレゴン交響楽団とリズム・セクションのバックで歌っている写真がブックレットに載っていますが、それはド派手なステージ照明とも相まって、かなりのインパクトを与えてくれます。そう、これは彼らが毎年オーケストラとともに行っているクリスマスコンサートで録音されたものです。昨年はそのコンサートが20回目を迎えたために、その記念にこんなライブアルバムが作られました。
それは、オープニングからもうハイテンションの、スカッとするようなサウンドで始まっていました。オーケストラの金管セクションが派手に鳴り響く中で、リズム・セクションのタイトなビートがいやが上にも盛り上がりを誘います。このリズム、特にドラムスの人が叩き出すものはとても強烈なパルスを届けていて、これだけで音楽のテイストがきっちり決まってしまっています。
ですから、オーケストラのほうは金管以外はそれほど目立った働きはないようで、時折ストリングスがうっすらとサウンドに色付けをしている程度の関与です。
そんなバックに乗って、このコーラスはとことん熱く迫ります。もう歌うことが楽しくてしょうがないという人たちが集まっているように感じられますから、その演奏からはほかの人もとことん楽しませようという気持ちがいやというほど伝わってきます。なにか、まさに「魂」で歌っているようなすごさがありますね。
ほとんどの曲ではメンバーのソロを聴くことができますが、それもみんなとても伸びのある声で素晴らしいものばかりでした。曲自体はほぼ知らないものばかりなのですが、そんな熱い思いをきっちり伝えるこのサウンドに囲まれていると、聴いているだけで心が熱くなってきますよ。
そう、これはもちろんサラウンドで録音されているのですが、正面のステージだけではなく、それを取り囲む客席の熱気までもが、きっちり聴こえてくるのですよ。ステージと客席の全員が手拍子を打っているところなどは、まさに圧巻のサラウンドです。
1曲だけ、本当によく知っている曲がありました。それは、ヘンデルの「ハレルヤ」です。あの「メサイア」の中の有名な合唱曲ですね。まさにクリスマスならではのきらきらとしたパーカッションによるイントロに続いて聴こえてきたのは、見事にゴスペルに変身した「ハレルヤ」でした。このバージョンは、1992年にクインシー・ジョーンズのプロデュースによって制作されたもので、アレンジはマイケル・ジャクソンと「テイク・シックス」のマーヴィン・ウォレンとマーク・キブルです。そして、オーケストレーションと指揮を担当しているのが、かつてナタリー・コールのバックを務めていたチャールズ・フロイド、ここにはただの「熱気」だけではない、しっかりとしたサポートによるバックボーンがありました。

SACD Artwork © Pentatone Music B.V.

by jurassic_oyaji | 2018-12-19 00:30 | ポップス | Comments(0)
Christmas is Here!
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Pentatonix
RCA/19075889432



街中ではイルミネーションが独特のイントネーションを奏で、各地からの初雪の便りが聞こえてくればいよいよクリスマス・シーズンの到来です。今年最初に取り上げるのは、Pentatonixのアルバムになりました。
デビューしてからコンスタントにクリスマス・アルバムを毎年リリースしてきた彼らですが、去年はメンバーチェンジのごたごたで、ちょっと「手抜き」のアルバムでお茶を濁されてしまいましたね。しかし、今年は違います。新しく加わったベースのマット・サリーとともに、さらにパワフルなアルバムを届けてくれました。
今回の聴きどころは、往年のオールディーズが多数カバーされているということでしょうか。まずは冒頭でスティービー・ワンダーが1967年にリリースした「What Christmas Means to Me」が歌われます。最初にヴォイパで鈴の音が聴こえてくるのが、いかにもクリスマスらしい演出です(実は、これはオリジナルのプラン)。ここでのベースの切れの良さは、新生Pentatonixの象徴ともいえるでしょう。いくぶん生真面目ですが、これほどのピッチの正確さは前任者にはなかったものです。
2曲目のブレンダ・リーの1958年のヒット曲「Rockin' Around the Christmas Tree」のカバーでは、そのベースが、オリジナルのイントロのコードからインスパイアされたのか、バッハの「G線上のアリア」のようなフレーズを聴かせてくれています。本体はいかにもキャッチーな歌い方。
3曲目はもっと古い、1951年のペリー・コモの「It's Beginning to Look A Lot Like Christmas」。これも、往年のビッグバンド・ジャズの雰囲気が存分に味わえるセピア色のアレンジです。ヴォイパの「ポカッ」という音がチャーミングですね。
4曲目は少し新しめのナタリー・コールの「Grown-Up Christmas List」です。ソロ・ヴォーカルにケリー・クラークソンが加わり、王道のバラードを聴かせます。
そして、5曲目に場面転換のような感じで、あの「グリーンスリーブス」がまるで聖歌のようなホモフォニック、ヴォイパなしの敬虔なアレンジで歌われます。
それがたった58秒で終わってしまうと、次はいきなり新しい曲が待っていました。アメリカのオルタナ・バンド、ザ・ネイバーフッドの2010年の「Sweater Weather」という、全然知らない曲です。ちょっと切れがありすぎの、このアルバムの中では異質なテイストです。
7曲目では、1998年のミュージカル・アニメ「The Prince of Egypt」のエンディング・テーマとして使われた「When You Believe」が、ゲスト・ヴォーカルにマレン・モリスを迎えてオリエンタルに迫ります。
そして、8曲目が、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」の「花のワルツ」です。公開中の映画「くるみ割り人形と秘密の王国」にあやかってのことでしょうね。というか、以前のクリスマス・アルバムでは「金平糖の踊り」がカバーされていましたから、その流れでしょうか。なんせ、こちらも公開中の映画の中のクイーンの「Bohemian Rhapsody」を、ア・カペラで全曲完コピしてしまった彼らですから、そのクオリティのアレンジを期待していたのですが、いともあっさりしたワルツ本体だけのカバーだったのは、ちょっとがっかりでしたね。
9曲目が、アルバムのリード曲となっている、あまりに有名な「Here Comes Santa Claus(サンタクロースがやってくる)」という1947年のジーン・オートリーの曲のカバーです。これは、ラジオなどでも流れていましたね。
そして、10曲目に現れたのが、なんとティム・バートンの1993年のクレイ・アニメ「The Nightmare Before Christmas」の中で歌われていた「Making Christmas」です。「幻想交響曲」にも登場するグレゴリオ聖歌の「Dies irae」のテーマを使った不気味な曲でしたね。ここでは笑い声なども交えて、やはり不気味に迫ります。
10曲目にフィエス・ヒルの2000年の「Where Are You, Christmas?」のカバーを経て、最後はおなじみ「Jingle Bells」が、フル・オーケストラをバックにぶっ飛んだアレンジ(バーンスタインの「アメリカ」のようなヘミオラのリズム)で締めくくられます。このアレンジは、バーブラ・ストレイザンドのバージョンが参考にされているのだそうです。

CD Artwork © RCA Records

by jurassic_oyaji | 2018-12-11 08:19 | ポップス | Comments(0)