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カテゴリ:ポップス( 106 )
Hans Zimmer Live in Prague
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EAGLE ROCK/EVB 335709(BD)


どうしても「ハンス・ツィンマー」と呼びたくなってしまいますが、一応アメリカ式に「ハンス・ジマー」と呼ぶのが慣例になっているので、それに従いましょう。そんな名前でも分かる通り、生まれたのはドイツ、その後ロンドンに移住してさらにアメリカに渡り、今では世界的な映画音楽の作曲家になっている人ですね。
彼の作る音楽は、とても骨太でダイナミックなものから、繊細なものまでかなり幅広いような印象がありました。その中で、生のオーケストラと電子音(シンセサイザー)との絶妙なバランスによる独特なサウンドは、それまでの映画音楽のグレードをワンランク高めたものなのではないでしょうか。
そんなジマーが、2016年にプラハで行ったコンサートの模様が、2017年にBDなどでリリースされていました。
会場は、プラハのO2アリーナという、収容人員18,000人の屋内競技場です。そこを埋め尽くした聴衆の前で、ジマーはオープニングから度肝を抜いてくれました。まずはジマーが一人で現れて「Driving Miss Daisy」のテーマをピアノで弾き始めます。そのピアノも普通のアップライトではなく、もう少し小振りのスピネットタイプのおもちゃみたいな楽器ですから、なんかジマーのサウンドとはミスマッチ。そこに、クラリネット奏者が登場して、デュエットになります。そのクラリネットがすごく上手、あとで調べたらリチャード・ハーヴェイという、やはり映画音楽などを作っている作曲家でした。
さらに、セクシーなボンデージ・ファッションのヴァイオリンが2人と、スケルトン・チェロ(ヤマハ)が一人加わってひとくさりアンサンブルが披露されますが、少しリズム感がタイトになってきたな、と思った瞬間、後ろのカーテンが上がってそこに並んだドラムスとパーカッションがいきなり現れました。
曲は「Sherlock Holmes」に変わり、ジマーはなんとバンジョーを弾きだしましたよ。それが一旦暗転でブレイク、ベースのソロで「Madagascar」のリフが始まり、ジマーは燕尾服を脱いでシャツ姿になり、ピアノに向かいます。そして、そのリフが盛り上がってきた瞬間、さらに後ろのカーテンが上がって、ストリングスとブラス、そしてコーラスが現れました。これには客席も驚いて、スタンディング・オベーションですよ。このメンバーはチェコ・ナショナル交響楽団と合唱団ですって。
それからは、聴いたことのあるジマーの曲たちのオンパレード、オーケストラを駆使した重厚なサウンドから、ほとんどEDMといった感じのテクノ・サウンドまで、幅広いジャンルを網羅したジマーの世界が広がります。
演出も、照明がとても多彩で目がくらむほど。そして、最大の魅力がそのサラウンドのミックスです。いまや、映画のサウンドトラックはサラウンドが当たり前になり、単なるオーケストレーションではなく、しっかり音場まで設計されたアレンジが行われています。時には、それが的確な表現となって、映画全体のコンセプトを伝える大きな要素ともなりえています。そんな「思想」までが、このBDのサラウンド・ミックスでは見事に反映されているのです。
具体的には、オーケストラと合唱はリアに定位、フロントにバンドが広がるという、まるでステージのど真ん中にいるような定位になっています。ただ、ドラムスやパーカッションはシーンに応じて定位が変わり、前からも後ろからも迫ってきます。
スケルトン・チェロは、常にフロントでソリスティックな演奏を繰り広げています。この人は中国系のティナ・グオというチェリストで、クラシックのチェロや、二胡までも演奏します。なんでも、五嶋みどりとトリオを協演したこともあるのだとか。ただ、何カ所か、間違いなくソロを弾いているのに、音が全然聴こえないところがありました。これは音響のミスなのでしょう。
「動く」ジマーを見たのはこれが初めて、かなり老けた外観はちょっと意外でした。でも、このライブのサウンドには圧倒されました(あっとおどろくことばかり)。

BD Artwork © Eagle Rock Limited

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by jurassic_oyaji | 2018-06-21 20:17 | ポップス | Comments(0)
POLARITY
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Jan Gunnar Hoff(Pf)
Anders Jormin(Bas)
Audun Kleive(Dr)
2L/2L-145-SABD(BD-A, hybrid SACD)


この、超弩級の録音を誇る2Lレーベルは、もっぱら合唱曲や器楽曲といったクラシックのレパートリーで制作を行っていますが、ほんの少しジャズのアルバムもリリースしています。それは、自国ノルウェーのジャズ・ピアニスト、ヤン・グンナル・ホフのアルバムです。これまでに、4枚ほどのアルバムが出ています。
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これが、録音会場の写真。今回は、ホフにとっては初めてとなるトリオの編成でのセッションです。ベースはアンデシュ・ヨルミン、ドラムスはアウドゥン・クライヴェ、いずれも北欧圏では最高と言われているミュージシャンだそうです。そして、ホフはここではピアノの他に、チャーチ・オルガンとシンセサイザーも演奏しています。おそらくこれはオーバーダビングで重ねているのでしょう。彼の右手にあるのがシンセサイザー。これは往年の名器、「プロフェット6」です。6声のアナログ・ポリフォニック・シンセですが、この前の5声の機種「プロフェット5」は、あのYMOも使っていて一世を風靡しましたね。もう1台、左手にあるオルガンはドローバーが付いているのでハモンドっぽいのですが、こんな一段鍵盤の機種はないはずなので、別のメーカーの製品でしょう。
それと、この教会でのセッションでは、楽器や録音機材以外にいろんなものが見えますね。ドラムスの後ろには、無数の座布団が敷かれていますし、この3人の間にはなんと多量の薪が撒き散らされていますよ。これは、なにか音響的な意味があるのでしょうね。特に木材は良い影響を与えるはずです。
もちろん、このレーベルですからこれはハイ・クオリティのサラウンド録音です。そのためのメイン・アレイがさっきの薪のそばにありますから、再生される時はその位置での音場が感じられるはずです。たしかに、正面の左寄りにピアノ、右寄りにベース、そして後ろからはドラムスが定位しています。
この3人が奏でる楽器たちの音はあくまでクリアでナチュラルでした。ピアノは刺激的なタッチは全くなく、暖かいハーモニーが柔らかく漂っています。ベースもなんというリアルな聴こえ方なのでしょう、時折登場するアルコによるフラジオレットには、この世のものとは思えないほどの妖艶さが漂っています。そして、ドラムスの驚異的なテクニック。基本、使っているのはノーマルなドラムセットなのですが、そこから奏でられる様々なテクスチャーは、まるで魔法のように全体の音色を操作しています。そう、このドラムは「歌って」いるのですよ。
ここで演奏されている曲は、ホフのオリジナルが12曲、それぞれに英単語一つのシンプルなタイトルが付いています。曲調はバラードあり、アップテンポあり、さらにはもろインプロヴィゼーションというハードなものありという多彩さですが、いずれもキャッチーなテーマが使われているのでとても親しみがわくものばかりです。ホフという人は、稀代のメロディ・メーカーなのではないでしょうか。
中でも、なにかとても懐かしい思いに誘われる北欧感のようなものが漂っている曲が、印象に残っています。最初に演奏されている「Innocence」あたりが、そんなテイストの曲。まるであの「Frozen」のテーマ曲のようなイントロで始まるとてもかわいい曲です。最後の「Home」という曲も魅力的ですね。まるでコラールのようなテーマが何度も繰り返され、その間に全く別のテイストのフレーズが入りますが、最後にはそのコラールに戻ってくるあたりが「Home」なのでしょうか。「Sacred」という曲では、ピアノは全く登場せず、オルガンだけになっていました。これも意味深。
これをサラウンドBD-Aで聴くと、いつまでもこんな音に浸っていたいという至福の時間が過ぎていきます。ところが、同じ音源をSACDで聴くとそんなアナログ感満載のソフトな雰囲気が全くなくなり、なにかとげとげしい感じの音になってしまいます。改めて、SACDのスペックの不十分さが体験できてしまいました。

BD & SACD Artwork © Lindberg Lyd AS

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by jurassic_oyaji | 2018-05-24 20:21 | ポップス | Comments(0)
A LOVE SO BEAUTIFUL
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Roy Orbison
Royal Philharmonic Orchestra
SONY/88985497092


ロイ・オービソンと言えば、彼が歌う「Oh, Pretty Woman」が、ジュリア・ロバーツとリチャード・ギアが出演した1990年の映画「プリティ・ウーマン」の主題歌として一躍有名になったロック・ヴォーカリストですね。ただ、この曲自体は1964年のヒット曲ですし、オービソン自身も1988年には亡くなっています。ですから、この曲はあくまで「クラシックス(=懐メロ)」という扱いで、採用されていたのでしょう。
実際、彼が立て続けにヒット曲を出していたのは1960年代でした。それが、晩年の1980年後半には、元ビートルズのジョージ・ハリスンが結成したバンド「トラヴェリング・ウィルベリーズ」のメンバーとして「リバイバル」することになります。しぶといですね(それは「サバイバル」)。このバンドでオービソンの声の魅力にとりつかれ、さらに映画に後押しされてファンになったという人も多かったのではないでしょうか。それほど、彼の声はその辺のロック・ヴォーカリストとは一線を画した格別の魅力を放っていました。
亡くなってから30年近く経って、去年の11月にこんなアルバムがリリースされました。これは、オービソンが残した音源から彼のヴォーカルだけを抜き出し、そのバックを新たに録音して新しいバージョンを作った、というものです。
マルチ・トラックの中の彼の声に合わせて、リズム・トラックを新たに録音します。そして、さらにそこにストリングスを加えるのですが、そこにスタジオ・ミュージシャンではなく、ロイヤル・フィルという「普通の」オーケストラを使ったというのが、このアルバムの目玉です。
実際は、このクラスのオーケストラがスタジオの仕事をするのは日常茶飯事ですから、それほどありがたがることはないのですが、ここでは確かにその間違いなく大人数の弦楽器が演奏している厚ぼったいサウンドには、とてもゴージャスさが感じられます。
それと同時に、ここではコーラスも新たに加わっていました。それは10人以上のメンバーが参加している、ちゃんとした「合唱団」ですから、こちらの深い響きにもとても魅了されてしまいます。
つまり、そんなキレキレの、最新の録音によるバックの中に、半世紀以上前に録音されたヴォーカルが入っても、全く何の違和感がないということに、本当は驚くべきなのでしょうね。それだけ、彼の歌声には時代を超えた普遍性があるということになりますね。
60年台の録音と言えば、ヴォーカルには派手なエコーがかかっていたものです。ここでも、オービソンの声はその「エコー込み」で使われていて、まわりのサウンドもそれに合わせてかなり深めのエコーがかかっています。そうなると、あの頃の例えばフィル・スペクターが作り上げたびしゃびしゃのエコーの世界が、方向性は同じでも全く異なる景色で現れてきます。
それが、80年台の曲になると、そのエコーが控えめになってストレートな声とサウンドに仕上がっているのも、面白いところですね。この時代の「I Drove All Night」や「You Got It」では、オリジナルでは当時の仲間のジェフ・リンなどがギターやバッキング・ヴォーカルで参加していました。ですから、今回のプロジェクトではオービソンの声と一緒にそれらのパートもそのまま残して、新たに別のパートを付け加えていましたね。
いや、なぜか入手したのはドイツ盤だったのですが、そこにはボーナストラックでヘルムート・ロッティという、ベルギーのシンガーがオービソンと「デュエット」までしているんですよね。これが傑作、歌っているのが60年台の「Only the Lonely」なので、ロッティにもおんなじエコーがかかっているんですよ。
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もっとすごいのは、このメンバーがそのまま「ライブ・ツアー」を行うことを告げるこのポスター。オービソンのホログラムを使って、このアルバムと同じものを「生」で聴かせようとしているんですよ。幸せな人だな、と思いますね(演奏するのが「The Royal Philharmonic Concert Orchestra」というのがおかしいですね)。

CD Artwork © Sony Music Entertainment Germany GmbH

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by jurassic_oyaji | 2018-02-13 21:49 | ポップス | Comments(2)
ザ・ビートルズ・LPレコード・コレクション/No.1 Abbey Road
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デアゴスティーニ・ジャパン刊
ISBN978-4-8134-2163-1



「デア・ゴスティーニ」ではなく、「デ・アゴスティーニ」だったんですね。最近知りました。いずれにしても、今までこの会社の製品にはなんの関心もありませんでした。例えば「オペラ全集」などを出したとしても、そこには何の価値も見いだせなくて、通り過ぎていましたね。最近、「ジャズ全集」を出した時にも、まあ、このところLPに対する再評価が高まってるので、そんな波に乗って、テキトーにライセンスを取って、国内の工場でプレスしたものを出しているのだろう、と思っていましたね。
そこに、なんとビートルズのオリジナル・アルバムなどというものが登場したではありませんか。ビートルズの音源に関しては、とても厳しい管理がなされていますから、正規にリリースされるものは全てかつてはEMI、今ではUNIVERSALの中のCalderstoneというディヴィジョンからのもの以外は認められないことになっているはずです。それが、こんな畑違いの会社から発売されるなんて、いったい、実体はどんなものなんだろうという興味だけで、初回発売の「Abby Road」を買ってみました。
宣伝媒体では、そもそもジャケット自体がこんな感じになっていたので、そういう「雑誌仕様」のデザインなのかと思っていたら、これはあくまで全体のカバーで、その中身はこんな感じでした。
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このほかに、しっかりシュリンク包装されたLP本体が入っていましたよ。2012年に出たこれの「正規盤」は持っていましたから、それと比較してみると、全く同じもののように見えました。ジャケットもレコード盤も中袋もレーベルも、正規盤と同じ大きさ、重さ、材質、匂い(?)ですから、これは正規品と同じ製造工程で作られたものに間違いありません。
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ただ、裏ジャケットにあるクレジットを見ると、EMIからCalderstoneに変わっているほかに、「©2016 Licensed by Universal Music group to De Agostini Publishing S.p.A.」という一言が加わっています。したがって、レーベルの周辺に印刷されているテキストも変わっています。左がEMI、右がデアゴスティーニです。
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ですから、クレジット上の表現では、「2009年にデジタル・リマスターを行って、2012年に製造されたLPを、デアゴスティーニが販売している」ということになるのでしょう。つまり、EMI(今ではUNIVERSAL)が製造したものと全く同じLPが、本屋さんで簡単に手に入る、ということですね。値段も輸入品を定価で買うよりはるかに安いですからね。そもそも、これは日本だけではなく、イタリアやイギリスですでに出ていたものだったのです。世界的なマーケットに向けられていたのですよ。ですから、付属のブックレットは、英語版を翻訳したものです。
もちろん、これはEMIが製造したLPの在庫をそのまま流用したのではなく、今回ジャケットは新たに印刷され、LPも新たにプレスされています。それは、マトリックス・ナンバーを見れば一目瞭然。
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上がEMI、下がデアゴスティーニです。マトリックス表記のシステムが全然別物ですね。
つまり、今回はカッティングも新たに行われたことになります。そのマスターは2009年に作られたデジタル・マスターですが、おそらくカッティングのエンジニアも2012年とは別の人なのでしょう。その違いが、音の違いとなって実際に現れています。結論から言うと、今回のデアゴスティーニのカッティングの方が、以前のEMIのものより良い音になっています。具体的には、カッティングのレベルがほんの少し高いので、音にメリハリが増していますし、特に内周に行くにしたがって音が劣化する「内周ひずみ」がほとんど感じられません。ですから、A面後半の「Octopus's Garden」、B面後半の「Polythene Pam」や「She Came in through the Bathroom Window」でのコーラスや「Golden Slumbers」でのストリングスなどは、比較にならないほど生々しく聴こえます。
これはすごいことです。さらに、「1」や「サージェント・ペッパー~」のように今ではLPでもジャイルズ・マーティンのリミックス盤しか入手できなくなっているものでも、オリジナル・ミックス盤が手に入るはずですから、これもとても貴重です。CDの音には飽き足らず、それなりのLP再生装置を持っている人には、絶対のおすすめ品です。

Book Artwork © K.K.DeAgostini Japan

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by jurassic_oyaji | 2017-08-31 22:22 | ポップス | Comments(2)
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band/Anniversary Edition
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The Beatles
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今日、6月1日はこのビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」という長ったらしいタイトルのアルバムが発売された記念日なのだそうです。それは1967年のこと、ですから、本日は発売50周年記念日となります。ところが、それはイギリスでの発売日で、日本で発売されたのは7日5日なんですよね。それなのに日本盤の帯に「イギリスと同時発売!!」とあるのは笑えます。なんせ、半世紀も昔のことですから、別に動じることはありません。
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The Beatles Album Visual Book(2000年リットーミュージック刊)より

その頃はEMIのアーティストだったビートルズも、今ではユニバーサルに移っています。しかし、彼らのアルバムの大部分は、EMI時代の2009年に新しくリマスタリングされたものですから、もうそれで十分と思っているユーザーに対して、ユニバーサルとしてのアイテムを用意したいという動きはあったのでしょうね。そこで、ジョージ・マーティンの息子のジャイルズ・マーティンに新たにリミックスを行わせて、「1」のリミックス盤とか、長らく廃盤になっていた「ハリウッドボウル・ライブ」のリミックス盤をリリースしてきたのでしょう。そして、「サージェント~」の50周年という「大義名分」を後ろ盾に、ついにオリジナルアルバムのリミックスに手を付けることになりました。
ジャイルズが行ったのは、現代のリスナーにとって聴きやすい音に仕上げる、ということだったのでしょう。半世紀前はまだステレオというのは特別なものでしたから、このアルバムもイギリスやアメリカではステレオ・ミックスとモノラル・ミックスの2種類が用意されていました。ステレオにしても、今聴くと単純に「右」、「真ん中」、「左」とヴォーカルや楽器を割り振った、というものでした。それが、ここではすべてのメイン・ヴォーカルは真ん中に定位させています。そして、コーラスはその周りに広がりを持って定位、ということまで行われていて、真の意味での「立体感」が表現できるようになっています。もちろん、それぞれの音のクオリティも格段に向上しています。
それはそれで、初めてこれらの作品に触れる人にとってはありがたい配慮なのですが、長年聴きなれたファンにとっては、ちょっと納得のいかないところもあるのではないでしょうか。たとえば、「A Day in the Life」では、ジョンのヴォーカルは右から始まって真ん中、左と移動するという形が曲の印象として刷り込まれていますから、それを真ん中に固定されてしまうと戸惑ってしまいます。
そして、もっと重要な問題も。このアルバムでは何曲か、ミキシングが終わったところで、全体のテープスピードを少し操作してピッチを変えているものがあります。その、最終のカッティング用のマスターでリマスタリングを行っていた分には何の問題も出てこないのですが、ジャイルズの場合、元のスピードのままのテープでミックスを行って、それを最終的にデジタルでテープスピードを変化させているために、オリジナルとはピッチが変わってしまっているのですよ。それは、同梱されていたCDの中に入っていた「When I'm Sixty-Four」で最終的に採用されたテイクと聴き比べて分かったことです。オリジナル、つまり2009年のリマスター盤ではほぼ6%早くなっていたのに、今回のリミックス盤では4%しか早くなっていませんでした。実際に聴いてみると、オリジナルでは半音高く聴こえますが、リミックス盤ではとても微妙、製作者の意図とは別物になっています。
正直、「With a Little Help from My Friends」でのポールのベースを聴いた時には、そのクリアな音に狂喜してしまいました。しかし、こんないい加減なことをやっていたのには、本当にがっかりです。おそらく、これからも他のアルバムのリミックスは行われるのでしょう。しかし、非常に残念なことですが、それを聴く時にはオリジナルとは別物であるという意識で接する必要がありそうです。

CD Artwork © Calderstone Productions Limited

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by jurassic_oyaji | 2017-06-01 21:05 | ポップス | Comments(0)
Electronic Sound
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George Harrison
ZAPPLE/02


先日「ザップル・レコード興亡記」を読んでとても気になってしまったジョージ・ハリスンの「Electronic Sound」を実際に聴いてみることにしました。ビートルズ時代のジョージはとても好きだったのですが、ソロになってからのアルバムなどは全く興味がなかったのでどれも聴いたことはありませんでした。今回チェックしてみたら、やはり元ビートルズとあって、それらのアルバムはとても手厚い待遇を受けていたことが分かりました。CD化された後でも、何回もリイシューが繰り返されていたのですね。なんと、今年の2月にはジョージのすべてのソロ・アルバム13枚が、紙ジャケット仕様でリリースされていました。それは国内盤のみのことなのだそうです。なんでも、国内でLPが発売になった時の「帯」までが、ミニチュアで復刻されているのだとか。しょうもない気がしますが、マニアにはたまらないのでしょう。
この「Electronic Sound」は、オリジナルは1969年のLPですが、それは普通のシングル・ジャケットで、録音データなどは中袋に印刷されていたようですね。今回入手したのは、2014年に新たにリマスタリングが行われた輸入盤CD、それはダブル・ジャケット仕様の紙ジャケットで、CDはLPの中袋をほぼ忠実に再現したものの中に入っています。
このCDには、オリジナルにはなかったブックレットが入っていて、そこには多くの写真と、2014年に新たに書き下ろされたライナーノーツが掲載されています。それらは資料としてはとても興味深いものでした。まず、ダブル・ジャケットの見開きの部分に、ジョージ自身が購入した「モーグ」の、2014年に撮影された写真があるのが感激ものでした。それは、「モーグIIIP」という、ポータブル・タイプでした。
さらに、ブックレットではこの同じ楽器が「アビー・ロード」のセッションで使われた時の写真なども見ることが出来ます。ライナーノーツによると、それは確かにこのアルバムが録音された時に使われたもので、1969年の8月にアビーロード・スタジオに運び込まれたのだそうです。他のデータによると、セッションでこれが使われたのは8月5日から19日までの間ですから、それは間違いありません。「アビー・ロード」には、しっかりジョージの「モーグ」が使われていたのでした。
ただ、この写真ではセットアップを行っているのがジョージ・マーティンのようで、ジョージをはじめ、他のメンバーはそれを眺めている、という感じに見えてしまいます。おそらく、音を作ったのはすでに同じものを持っていて使い慣れていたジョージ・マーティンだったのでしょうね。ジョージたちは単にキーボードでフレーズを演奏しただけなのでしょう。
もちろん、中袋のデータでもわかるように、1曲目の「Under the Mersey Wall」が録音されたのは1969年の2月ですから、ジョージがこの「モーグ」を入手した直後なのですが、2曲目の「No Time or Space」が録音されたのが1968年の11月、しかも録音場所はカリフォルニアなのですから、これと同じ楽器ということはありえません。この点こそが、「興亡記」でもしっかり述べられ、今回のライナーノーツでも語られていることなのですが、この曲を実際に「演奏」していたのは、「アシスタント」というクレジットがあるバーニー・クラウスに間違いないでしょうね。そのカリフォルニアでのセッションが終わってから、ジョージがクラウスに頼んでデモ演奏をしてもらったものを無断で録音して、それを編集しただけだ、というクラウスの主張は、「真実」に限りなく近いものなのでしょう。
実際にこの2曲を聴いてみると、それははっきりします。ジョージ自身が演奏した「Under the Mersey Wall」では、いかにも偶然に出来た音を羅列したという感じで、逆にそれがまるでジョン・ケージの作品のような味を出しているのに対して、「No Time or Space」の音は、明らかにこの「モーグ」の操作に熟達した、確かな意思を持って作り上げられたものなのですから。

CD Artwork © G. H. Estate Limited
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by jurassic_oyaji | 2017-05-11 20:24 | ポップス | Comments(0)
Superfly 10th Anniversary Greatest Hits/"LOVE, PEACE & FIRE"
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Superfly
WARNER/WPCL-12621/3


今の音楽シーンでは、腐るほどのアーティストが日々新しい曲を垂れ流していますが、その大部分からは聴いていてなんの魅力も感じられません。それは彼(彼女)たちが、自分の楽器である「声」に関してとても無神経であることが、主たる原因です。いやしくも「声」で何か音楽的なメッセージを送ろうという、とても大切なことを志したのなら、それに見合うだけの修練は絶対に必要です。しかし、その修練の意味を勘違いしていて、小手先だけのテクニックにおぼれて決して他人には受け入れられることのない奇異な歌い方を「個性」だと思い込んでいるアーティストの、なんと多いことでしょう。
でも、中には「歌を歌う」ということがどういう意味を持っているのかをしっかり認識していて、とても素晴らしい「声」でその音楽をきちんと伝えてくれる人もいます。そんな中で、最近特に気に入っているのがSuperflyです。だいぶ前からその声は耳にしていたような気がしますが、はっきり彼女だと意識して聴くようになったのは2012年の「輝く月のように」あたりからでしょうか。テレビドラマの主題歌として使われていましたね。
それは、曲自体もとてもキャッチーなメロディを持ったものでしたが、なんと言っても彼女のヴォーカルの素晴らしさには感服させられました。特に、伸びのあるハイトーンは魅力的です。それはまさに理想的な声でした。
それ以来、彼女の声はたまたまラジオなどから聴こえてきても、すぐ分かるようになりました。本当に好きな人の顔なら、どんなに遠くからでも見分けられる、そんな感じでしょうか。ですから、すでに何枚かリリースされているアルバムをなにか買って、しっかり聴いてみようと思いはじめていました。
そんな矢先に、タイミングよくこんな「オールタイム・ベスト」が発売されました。それは3枚組ですから、ちょっと全部聴くのはしんどいな、とは思いましたが、結局全39曲は届いたその日に聴き終わっていましたね。
蛇足でしょうが念のため、Superfly(スーパーフライ)というのは、元々はユニットの名前だった、という知識も付け加えておきましょうか。2007年にメジャーデビューした時点では、メンバーはヴォーカルの越智志帆とギターの多保孝一の、共に愛媛県今治市出身者の2人でした。今回のベストアルバムは、「デビュー10周年」を記念してのものです。その後田保はユニットを脱退、Superflyは越智一人のソロ・ユニットとなります。田保は、アーティストではなく、コンポーザー/アレンジャーとしてSuperflyに関わる、という体制に、その時変わっていました。さらに、プロデューサーとして蔦屋好位置(変換ミスではありません)も深く関わっています。
ですから、殆どの曲のクレジットは作詞/越智志帆、作曲/多保孝一、編曲/蔦屋好位置となっていますし、蔦屋はキーボード奏者として録音メンバーに加わっています。
このベストはCD3枚組、なんでも、曲の選択にはファンからの人気投票が反映されているのだそうです。それらを、「LOVE」、「PEACE」、「FIRE」という3つのカテゴリーに分類して、それぞれ13曲が1枚のCDに収録されています。中には、そのカテゴリーではちょっと無理があるだろう、という曲もありますが、彼女の音楽には須くこの3つの属性が含まれていて、その表出の多寡がこの分類となったのだと思えば、それは全く気にならなくなります。彼女の歌からは、常に「愛」と「幸せ」と「情熱」が聴こえてくるのですから。
ブラスやストリングスが加わった分厚いサウンドでギンギンに迫るものから、彼女が作曲まで手掛けてピアノの弾き語りだけでシンプルに歌い上げるものまで、それこそ彼女が好きだというジャニス・ジョプリンからキャロル・キングへのリスペクトを、極上の声で味わうことができる素晴らしいアルバムです。金曜日の黄昏時には、お似合い(それは「スーパーフライデー」)。

CD Artwork © Warner Music Japan Inc.

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by jurassic_oyaji | 2017-05-04 20:20 | ポップス | Comments(0)
phase 4 stereo spectacular/nice 'n' easy
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Various Artists
DECCA/483 0525


以前こちらでご紹介したDECCAの「フェイズ4」ボックスの続編です。こちらはクラシックではなく、タイトルにあるような「イージー・リスニング」系のミュージシャンのアルバムが集められています。この、当時は画期的といわれていた録音方式によるレコードは、そもそもはこういうジャンルのために開発されたものですから、こちらの方が「先」にあったのですが、なぜかクラシックより「後」に出ることになりました。
今となってはごく当たり前のマルチトラックによるレコーディングですから、正直、録音面からは、今これをわざわざ聴くという価値はほとんど見出せません。それでも、当時は確かに輝いていたアイテムが、全部でアルバム50枚分も、当時の価格の1/10以下の値段で手に入るのですから、これはそそられます。
登場するアーティストは、ロニー・アルドリッチ、スタンリー・ブラック、フランク・チャックスフィールド、テッド・ヒース、マントヴァ―ニ、エリック・ロジャース、エドムンド・ロス、ローランド・ショーといった面々です。かつては一世を風靡した人たちばかりですが、今ではすっかり忘れ去られているのではないでしょうか。
最後のローランド・ショーは、フランク・チャックスフィールドの「引き潮」などが入ったアルバムでのアレンジャーを務めていた人ですね。その、1964年にリリースされた「Beyond the Sea」というアルバムは、1965年の「The New Limelight」というアルバムとで「2 on1」の1枚のCDに収まっているのですが、ジャケットはダブル仕様で両方のものが印刷されているといううれしい扱いです。ただ、このCDでは、ブックレットのトラック表示が、それぞれ別のアルバムのものに入れ替わってるという痛恨のミスプリントが。
このように、収録時間の短いもの20枚が、そういうダブルジャケットに入って10枚のCDになっているほかは、全て表裏オリジナルジャケット仕様の紙ジャケに1枚ずつ入っています。
録音されたのは1961年から1975年まで、クレジットを見るとプロデューサーはトニー・ダマト、エンジニアはほとんどアーサー・バニスターとアーサー・リリーという二人が担当しているのが分かります。実は、この人たちはクラシック編でもほとんどのアルバムの制作を担当しているのですよ。ストコフスキーの「シェエラザード」もトニー・ダマトとアーサー・リリーが担当していますから、あんな音になっていたのは納得です。今回のボックスでの弦楽器のわざと歪ませたのではないかというほどのザラザラした音は、ジャンルを問わずに彼らのポリシーとなっていたのですね。
ですから、この中ではあまりストリングスが活躍していないエドムンド・ロスあたりが、サウンド的にはとても気に入りました。この人はバンドマスターだけではなく、歌も歌っていたのですね。ゲストにカテリーナ・ヴァレンテを迎えたアルバム「Nothing But Aces」などは最高です。
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フランク・チャックスフィールドのビートルズ・アルバムでは、ジャケットが素敵ですね。録音されたのは1970年1月、前年の9月末にリリースされたばかりの「Abbey Road」からのナンバーがすでにカバーされています。
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DECCAの看板スターだったマントヴァーニは、ここには1枚しか入っていません。どうやら、彼がDECCAに残した膨大なカタログの中で「フェイズ4」で録音されたものは、この「キスメット」というミュージカル・アルバムしかなかったようですね。
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1953年にブロードウェイで初演され、1954年には映画版も作られたというこのミュージカルは、アラビアあたりを舞台に全編ボロディンの作品の素材を使って作られたものです。この中で歌われる有名な「Stranger in Paradise」というナンバーは、「ダッタン人の踊り」がそのまま使われている曲だったんですよ。それを全曲、こんなところで聴くことが出来るなんて。ここでは、ジョン・カルショーとは別のアプローチで「ステージ」を再現させている試みが見られます。

CD Artwork © Decca Music Group Limited

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by jurassic_oyaji | 2017-03-16 21:04 | ポップス | Comments(0)
OPERA JAZZ BLUES
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Hibla Gerzmava(Sop)
Trio of Daniel Kramer
MELODIYA/MEL CD 10 02466



このジャケットの、まるで、デブになる前のネトレプコみたいな美人はヒブラ・ゲルズマーワ、ロシア、正確にはジョージア(グルジア)西部のアブハジアに1970年に生まれたオペラ歌手です。ガッキーではありません(それは「ニゲハジ」)。まだ学生だった1994年にチャイコフスキー・コンクールの声楽部門で優勝し、1995年にはスタニフラフスキー & ネミロヴィッチ・ダンチェンコ・モスクワ・アカデミック音楽劇場でキャリアをスタートさせました。ロンドンのロイヤル・オペラハウスやニューヨークのMETにもデビュー、現在では世界中の歌劇場で活躍している、まさに世界的なプリマ・ドンナです。なんでも、彼女の母国のアブハジアでは、「ヒブラ・ゲルズマーワ・インヴァイツ」という音楽祭が2001年から毎年開催されていたのだそうですが、最近では国外、ウィーンのムジークフェライン・ザールとかニューヨークのカーネギー・ホールなどでも開催されるようになっているのだとか。すごいですね。
そんなゲルズマーワが、ジャズ・ピアニストのダニエル・クラマーとのコラボレーションでこんなアルバムを作りました。「オペラ、ジャズ、ブルース」というタイトルですから、コンセプトはそのまんまですね。
全く予想の出来ないフレーズのピアノだけのイントロから、「椿姫」の最初のアリアが始まります。彼女の声はまさに正統的なベル・カント、当然ピッチはかなり微妙なものになってしまいますが、やはりそれは「ジャズ」とはかなりミスマッチなような気がします。「オペラ」ではない、シューベルトの「アヴェ・マリア」なども歌われますが、やはりこういうしっとりとした曲はなんだか馴染みません。
それが、モーツァルトの「エクスルターテ・ユビラーテ」の「アレルヤ」になったら、俄然ノリが良くなってきましたよ。こういうアップテンポの曲だと、バックのトリオ(ピアノ、ベース、パーカッション)ともうまく合ってくれるのでしょう。次の「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の終楽章のロンドになると、今度はスキャットなどを始めました。なかなかオペラ歌手でここまでやってさまになる人はいないでしょうね。ただ、やはりちょっとした「クセ」はつい出てしまうようで、ロンドのテーマのアウフタクトの前でしっかりブレスをしていて、そこで一瞬グルーヴが停滞するのが、ご愛嬌。
ドヴォルジャークの「我が母が教え給いし歌」あたりになってくると、次第に彼女の声に慣れてきたのか、同じしっとりした曲想でもずっと抵抗なく聴けるようになっていたのは不思議です。「ジャズ」という概念を捨てて、真摯に彼女の歌を味わえばいいんですね。要は、間奏の時に思い切りトリオだけで「ジャズ」をやってくれているだけで、彼女は全然「ジャズ」を歌っているつもりはないのだ、ということに気づきさえすればよかったことなのです。そうすれば、カールマンのオペレッタの中での、彼女のコロラトゥーラとピアノとのツッコミ合いも素直に笑えることになります。
最後には、祖国アブハジアのフォークソングも歌われています。これはとても素敵でした。
このCDには、いまどき珍しい「ADD」という表記が入っていました。
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今となっては何のことかわからない方もいらっしゃるかもしれませんが、これはアナログ録音をデジタルでミックスしてCDにした、という意味です。録音されたのは2016年ですが、メロディアのスタジオにはアナログの録音機材しかなかったのではなく、あえてアナログで録音した、という気がします。なにしろ、ピアノといいヴォーカルといい、とてものびやかで素直な音なんですね。彼女の超高音も、何のストレスもなく再生できています。アコースティック・ベースも、なんともふんわりとした空気感が伝わってきますね。ハイレゾのデジタル録音よりも、アナログ録音の方がずっと音が良いというのは、本当のことなのかもしれません。このアルバムをLPで聴いてみたくなりました。

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by jurassic_oyaji | 2017-03-04 20:39 | ポップス | Comments(0)
LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL
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The Beatles
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もう解散してから半世紀近く経つというのに、いまだにビートルズは「商売」になるのでしょう、今回は、新たに作られたドキュメンタリー・フィルの公開にあわせて、「今まで見たことも聴いたこともなかったビートルズのライブ」ですって。
今回のアルバムは、1964年と1965年にLAの「ハリウッド・ボウル」という、クラシック・ファンにとってもなじみのある野外コンサートホールで行われたビートルズのライブを収録したものなのですが、これは最初からアルバムを作るために録音の準備がされていたものだったのだそうです。とは言っても、当時のことですからそれは単に演奏用のマイクとアンプからの出力を3チャンネルのテープに収めただけのものでした。しかも、そこには演奏以上に大きな音で聴衆の叫び声が録音されていましたから、到底「商品」としては使い物にはならないようなものだったはずです。ですから、録音はされたものの、それはリリースされることはありませんでした。
しかし、それから10年以上経って、もはやビートルズ自体は解散してしまった頃に、ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンが、その録音を行ったEMI傘下のアメリカのレーベルCAPITOLから、そのテープを使ってレコードを制作することを依頼されます。マーティンはそれに応えて、エンジニアのジェフ・エメリックとともに様々なエフェクターを使って編集作業を行い、1977年にこの「THE BEATLES AT THE HOLLYWOOD BOWL」を公式ライブアルバムとしてリリースしたのです。
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国内盤では、まだ「ハリウッド・ボウル」という名前になじみがないと判断したのか、タイトルは「ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!」となっていましたね。しかし、それはLPとしてリリースされたのちには、他の公式アルバムのようにCD化されることもなく、今では廃盤となっています。
ですから、今回のCDは、それから40年近く経って初めてCD化されたものとなるわけです。しかし、その際には、この前の「1」と同様、ジョージ・マーティンの息子ジャイルズ・マーティンによって、オリジナルの3トラックのテープにまでさかのぼって「リミックス」が行われています。さらに、新たに4曲がボーナス・トラックとして同じ音源から編集されて収録されています。
あいにく1977年盤を聴いたことはないので、このリミックスによってどれだけ音が変わったかを検証することはできませんが、「1」での仕事ぶりを見ていれば、かなりの改善が行われているのではないか、という気はします。実際に、会場の歓声(ほとんど悲鳴)は、全く演奏の邪魔にはなりませんし、演奏もヴォーカルもとても満足のいく音で聴くことが出来ました。逆に、こんなコンディションの悪い録音を、よくぞここまできれいに仕上げたな、という感じですね。
ですから、それぞれのメンバーの声も明瞭に聴き分けることが出来ます。リンゴの1曲はご愛嬌としても、ジョージが2曲もソロを取っているのは意外でした。彼の声はスタジオ録音に見られるような線の細いものではなく、もっと力強く聴こえます。そして、ちょっと意外だったのが、ジョンに比べるとポールのヴォーカルがかなりお粗末だということ。ピッチはおかしいし、かなりいい加減な歌い方だったんですね。その二人ですが「A Hard Day's Night」では、「When I Home~」の部分からはそれまでジョンだったソロがポールに変わっているのですね。この部分は高い音がGまで出てくるので、ジョンには無理だったのでしょうか。スタジオ録音では、最初からダブルトラックなので、ずっと2人で歌っているのだとばかり思っていましたが、このライブでははっきり違いがわかります。
それと、ボーナス・トラックの「I Want to Hold Your Hand」で、歌い出しがきちんとビートに収まっているのにも驚きました。スタジオ録音では、オリジナルでもドイツ語バージョンでも最初のアウフタクトが絶対に半拍多くなっています。反駁できますか?

CD Artwork © Calderstone Productions Limited
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by jurassic_oyaji | 2016-09-20 20:59 | ポップス | Comments(0)