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Zeit und Ewigkeit
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Simone Rubino(Perc)
Kelvin Hawthorne(Va)
Katerina Gannitsioti(Vc)
Martin Steidler/
Audi Jugendchorakademie
FARAO/B 108102



「アウディ・ユーゲント・コール・アカデミー(アウディ青少年合唱団)」というのはドイツの自動車メーカー「アウディ」が、2007年に文化活動の一環として創設した合唱団です。そんなのがあうでぃ(意味不明)。現在では16歳から27歳まで、80人の男女が集まって、日々合唱のリハーサルや個人レッスンに明け暮れています。これまでに多くの国際コンクールで輝かしい成績を残し、多くの指揮者の下で世界的なオーケストラと共演もしています。
このFARAOレーベルには、ケント・ナガノの指揮によるCDも録音していて、実際に聴いたことがあります。
そのアルバム同様、ここには合唱以外のゲストが登場しています。前回はそれがホルンだったのですが、今回は打楽器などと合唱のために作られた曲が集められているのと同時に、その打楽器奏者のソロのトラックも用意されているという、前回と同じ構成になっています。さらに興味を惹かれるのが、あのニューステットのア・カペラの名曲「Immortal Bach」がマリンバと共演しているというクレジットです。いったい、どんなものに仕上がっているのでしょう。
「時と永遠」という意味深なタイトルを受けて、まず、最初の3曲では、全く知らない作曲家の作品が並びます。1962年生まれのヴォルフラム・ブーヘンベルクの「O Nata Lux」は、イエスの「変容」についてのラテン語のテキストを歌う合唱に、ビブラフォンが共演しています。シモーネ・ルビーノが演奏するそのビブラフォンによる導入部は、マレットでたたくのではなく、弓によって擦られて音が出されていますから、とても静かな、まるでグラスハーモニカのような音が響き渡ります。それに続いて登場する合唱も、穏やかこの上なく、とても癒される音楽を奏でています。
次に、アンナ・イグナトヴィチという1968年生まれの作曲家が作ったマリンバのソロ作品「トッカータ」が、やはりルビーノによって演奏されます。これは、作曲者の亡くなった父親の思い出のために作られた曲、やはり穏やかなテイストに支配されていますが、真ん中の部分でリズミカルな音楽になっているのがアクセントでしょうか。ここでのルビーノのマリンバは、とても繊細な音色で迫ります。時には、全く異なるリズムが同時に演奏されたりしていますから、おそらく本来は複数の演奏家が必要なところで多重録音を行っているのでしょう。
3曲目の「...Wie die Zeit vergeht...(このように時は過ぎてゆく)」は、1963年生まれのトビアス・シュナイトが作った、ヴィオラ・ソロと打楽器が合唱に加わるという編成です。これまでの曲とは一転、とても激しいアヴァン・ギャルドの世界が広がります。
そして4曲目になって、やっと馴染みのある作曲家、1977年生まれのエシェンヴァルズの「In Paradisum」の登場です。テキストはもちろん「レクイエム」の中の一章ですね。これは、もろヒーリング、ここでは打楽器は入らず、ヴィオラとチェロのソロが、それぞれに息の長いオブリガートで「楽園」を演出しています。
5曲目は、打楽器のルビーノ自身の作品で「Chorale per Marimbaphone」です。文字通りマリンバで4声のコラールを演奏するという試み、特に低音がかなり充実した楽器が使われているようです。持続音を出すために細かいトレモロを使って音を伸ばしていますが、それが低い音では本当に「声」のようなロングトーンになっているのには驚きます。それを広い音域の中にある4パート分同時に行うのはとても人間業とは思えません。もしかしたら、これも多重録音なのかもしれませんね。
そして、「トリ」が「Immortal Bach」。もしかしたら、先ほどのマリンバのコラールはこの曲を演奏するための伏線だったのでは、と思えるほどの、見事に合唱に溶け込んだマリンバのロングトーンが、この曲の節目で和声を支えていました。若々しい声がとても魅力的なこの合唱団は、訓練も行き届いていてハイレベルのハーモニーを聴かせてくれました。この曲に、新たな名演が加わりました。

CD Artwork © FARAO Classics

by jurassic_oyaji | 2019-03-28 23:26 | 合唱 | Comments(0)