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BARTOK/Concerto for Orchestra, The Miraculous Mandarin
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Pierre Boulez/
New York Philharmonic
DUTTON/CDLX 7360(hybrid SACD)



去年の8月には、こんなレビューを書いていました。1972年に「4チャンネル」で録音され、翌年ノーマルLPとSQクワドラフォニックLPでリリースされたバルトークの「オーケストラのための協奏曲」がマルチチャンネルのSACDになって出ていたので聴いてみたら、それは本来のミックスとは全然違っていてがっかりした、というものですね。その時にぜひこれを録音したメーカーに正規の形でのSACDを出してほしいとお願いしていたのですが、そんな願いが半年も経たずにかなってしまいました。
とは言っても、今回オリジナルの4チャンネル・マスターをそのままマルチチャンネルSACDにトランスファーしたのは、それを録音したSONY(当時はCOLUMBIA)ではなく、「DUTTON(ダットン)」という、イギリスのヒストリカル専門のレーベルだったんです。
まあ、すでに録音されてから半世紀近く経った音源ですから、これももはや「ヒストリカル」という範疇に入ってしまうのですね。このレーベルは、メインはジャズやポップスのようですが、クラシックも扱っていて、最近は1970年代の「4チャンネル」の音源を、集中的にサラウンドSACDで復刻してくれていますから、ここのサイトはほとんど「宝の山」といった感じでした。それも、SONYのカタログが多数取り上げられていますので、全部欲しくなってしまうほどです。本家のSONYはSACDそのものもほとんど見放していましたが、こんなところに「救う神」がいたなんて。
このSACDは、ライナーノーツにも、オリジナルのSQのLPに掲載されていた、プロデューサーのトーマス・Z・シェパードのライナーそのものが転載されていました。そこには、こんなテーブルもありました。
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この録音では8チャンネルのマルチトラック・レコーダーが使われていますが、それぞれの楽器を録音したマイクの入力が、どのチャンネルに振り分けられているのかが記されています。これを見ると、まさに当時のSONYのマルチマイクの方式がよく分かります。最近の2Lのように、基本的にセンターアレイに付けたチャンネル数だけのマイクによる「ワンポイント」とは正反対のやり方でしたね。
そこで、指揮者の周りに楽器を配置して、その指揮者の場所で聴いているような音場設定の「オケコン」を初めて聴くことになりました。これはもう、マルチマイクならではのくっきりした音場が、まさに先ほどのテーブル通りの位置に広がっていました。そして、非常に大切なことですが、それは決してスピーカーから割り当てられた楽器が聴こえてくるということではなく、まさにスタジオの中の響きに包まれて、実物大の存在感をもって聴こえてきたのです。例えば、第5楽章の冒頭でホルンパートのソロがリアから聴こえてきますが、その休符の間にフロントからはきちんと残響が聴こえてくるのですよ。
そんな感じで、管楽器の場合は全ての奏者がどこで吹いているかわかるほどのリアリティがありますから、この頃のフルートの首席奏者、ジュリアス・ベイカーがすぐ後ろの手の届く場所に座って演奏しているようで、なんだか不思議な気持ちになれます。
ただ、管楽器と弦楽器は普段演奏しているのとは全然違う、とても離れた場所にいることになるので、それがもろにアンサンブルの乱れとなって表れている場所がかなりありました。弦と管との掛け合いなどが、もう見事にずれまくっていたりしているのですね。これも、別の意味でのリアリティが感じられて、面白いですね。
カップリングは、2002年のSACDと同じ1971年にホールで録音された「マンダリン」でした。こちらも、今回のSACDでは微妙にミックスが変わっていて、より会場の残響成分が増えているようでした。特に、最後のシーンに登場する合唱が、2002年盤ではリアともフロントとも思えるようなあいまいな音場だったのですが、今回ははっきりリアから聴こえてきます。
ただ、マスターテープの劣化までもはっきりわかってしまうのが、皮肉なところです。

SACD Artwork © Vocalion Ltd

by jurassic_oyaji | 2019-02-19 23:50 | オーケストラ | Comments(0)