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KAPUSTIN/Complete Chamber Works for Flute
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Immanuel Davis, Adam Kuenzel(Fl)
Pitnarry Shin, Käthe Jarka(Vc)
Tiimothy Lovelace(Pf)
NAXOS/8.579024



ウクライナ生まれのピアニスト兼作曲家、ニコライ・ギルシェヴィチ・カプースチンは、モスクワ音楽院で「クラシック」を学んでいますが、作るものは紛れもない「ジャズ」でした。主に、自分で演奏するために作ったものなのでしょう、彼の作品はピアノがらみのものが大半を占めています。最近になってアムランなどのヴィルトゥオーゾ・ピアニストまでがこぞって彼の作品を演奏するようになって、一躍脚光を浴びるようになりました。ですから、おそらく楽譜は、通常の「ジャズ」の譜面のようなアウトラインだけのものではなく、きっちり全ての音符が書かれているのでしょうね。確かに、ジャズピアニストがソロとして弾く分にはなんということはないものでも、それを楽譜に起こしたものをクラシックのピアニストが弾くのは、超絶技巧が要求されるのでしょう。
そんなカプースチンは、こんなフルートがらみの曲も作っていました。
このアルバムは、近年カプースチンとのコラボレーションの機会が多いアメリカのフルーティスト、イマニュエル・デイヴィスが中心になって制作されました。ここで演奏されている唯一の「フルート・ソナタ」(2004年)は、デイヴィスの委嘱によって作られています。さらに、これが世界初演となる「小さなデュオ」は、このアルバムのために作られた「新曲」です。実は、カプースチンの作品でフルートが加わっている曲は、このアルバムに含まれているものが全てなのだそうです。ですから「Complete」なのですね。
デイヴィスという人は、フルーティストとしてはとても幅広い分野で活躍しています。ジュリアード音楽院でジュリアス・ベイカーに師事しているのですが、さらにオランダでバロック・フルートをウィルベルト・ハーツェルツェットの元で学び、アーリー・ミュージックの分野でのキャリアも重ねています。バルトルト・クイケンとも、たびたび共演しているそうです。
それとは全くかけ離れたジャンルになりますが、ブロードウェイのピットで「屋根の上のヴァイオリン弾き」や「ショウ・ボート」などのミュージカルの伴奏を務めていたこともあるのだそうです。
そんなデイヴィスの演奏で、まずは先ほどのフルートとピアノのための「フルート・ソナタ」を聴いてみます。そんな経歴の割には、いともまっとうなスタイルで吹いているのが意外でした。ですから、この曲もひたすら難しい楽譜の音符と格闘している、という印象が強く伝わってきます。それはそれで、技術的な破綻は全くないものの、「ジャズ」というにはあまりにもストイック過ぎて、正直退屈な感じが先に立ってしまいます。もしかしたら、このあたりがこの作曲家の限界なのか、とも思ってしまいますね。なにか、「ジャズ」でもなければ「クラシック」でもないという、中途半端さがとても気になります。
それが、次に演奏されている1998年の作品「ディヴェルティメント」という2本のフルートとチェロとピアノのための曲になると、俄然様子が変わってきました。これは、なによりもたくさんのプレーヤーたちがとても楽しんで掛け合いを行っているのがとてもよく伝わって来るのですよ。3つある楽章の真ん中などは「フーガ」というクラシカルな形を取っていますが、ここではそんな堅苦しさなどは全くありません(風雅ではありません)。
そして、もちろんこれが初録音なる、フルートとチェロのための「小さなデュオ」(2014年)になると、また「ソナタ」のような重々しさが襲ってきます。どうも、彼の最近の作品は、そのような傾向が強いのかもしれません。
確かに、最後に演奏されている「トリオ」(1998年)では、フルート、チェロ、ピアノの3人のセッションの喜びが、とてもハッピーに伝わってきます。真ん中の楽章では、とてもジャジーな「けだるさ」が感じられますし、最後の楽章ではまるでハンガリー民謡のようなテーマも現れて、とても盛り上がります。

CD Artwork © Naxos Rights(Europe)Ltd

by jurassic_oyaji | 2019-02-07 20:15 | フルート | Comments(0)