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SAINT-SAËNS/Symphony No.3"Organ"
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Ulrich Meldau(Org)
Karel Valter/
Capriccio Baroque Orchestra
AEOLUS/AE-10097(hybrid SACD)



サン・サーンスの「交響曲第3番」といえば、オルガンが加わってとても華やかなオーケストレーションが施された作品、というイメージがありますね。オーディオ的には聴かせどころ満載ですから、その面を強調したアルバムが数多く作られています。
しかし、この曲が作られたのは1886年ですから、当時は当然「ピリオド楽器」を使って演奏されていたはずです。そこに注目して、その時代の響きでこの作品を演奏しようとしていたのが、こちらのロトとレ・シエクルのアルバムでした。この試みはそれまではサウンド的な華やかさだけが強調されてきたこの曲に、もっと渋い翳りがあったことを知らしめてくれたのです。
今回は、スイスの「バロック・オーケストラ」がこの曲に挑戦していました。楽器についての情報は何もないので正確なことはわかりませんが、「バロック」とは言っても、当然ここではサン・サーンスの時代の「ロマン派」の楽器が使われているのでしょうね。演奏している写真を見る限りでは、弦楽器の人数が「バロック」サイズで、かなり少なめのようですが。
ただ、ここではそんなことよりも、全く別のコンセプトが取り入れられていることに注目です。この交響曲ではオルガンが大活躍しているのですが、それを一歩進めてそのオルガンを「ソロ楽器」として扱うために、新たな編曲がなされているのです。言ってみれば「オルガン協奏曲」として演奏するための再構築が行われていたのでした。
そんな編曲を行ったのはギー・ボヴェというオルガニストでもあるスイスの作曲家です。そして、その編曲プランについては、「もしサン・サーンスがオルガン協奏曲を作っていたとしたら、これとは全然似ていないものになっていただろう」と開き直っています。ですから、これはそもそも「オリジナルの響きを再現する」といったようなロトのレトロなやり方とは全く異なる発想からの仕事だったのでしょう。
曲が始まると、それはどうも「協奏曲」とも違うような感じがしてきました。まず、そのオルガンの役割は、オーケストラの金管楽器を代わりに演奏していることだったのですよ。時には木管楽器のパートもオルガンに置き換えられているようでした。それは、それこそあのデュリュフレの「レクイエム」の室内オーケストラバージョンのように、少ない弦楽器でもバランスよく聴こえるような編曲のように思われてきます。
ですから、しばらくは金管はホルンしか聴こえてこない、なんとも不思議なサウンドが続きます。ところが、しばらくすると、トロンボーンやトランペットもちゃんとその楽器の奏者が演奏している場面もあるので、全面的に置き換えたわけでもないことが分かります。そんな編曲のせいなのでしょうか、時折耳慣れないフレーズが顔を出すことがあります。第1楽章の前半でそのトロンボーンが吹くフレーズがまぎれもない「Dies irae」であることにも気づかされます。
確かに「協奏曲」らしく、オルガンのソロの部分も用意されていました。でも、それは単にオーケストラのトゥッティをオルガン・ソロの形にしただけのものですし、そこで音楽が停滞する分、なんとも間抜けな印象になっているのですから何の意味も感じられません。
この曲にはピアノのパートもあって、それはとても印象的な部分なのですが、第2楽章前半のトリオで最初にそれが2手で出てくる時にはオルガンに置き換わっていました。さらに、後半が始まった直後で弦楽器のバックできらびやかに聴こえてくる4手の部分では、なんとハープが使われているではありませんか。ここは、いかにもサン・サーンスならではのおしゃれなオーケストレーションなのに、こんなありきたりの編曲ではぶち壊しです。
全体の演奏も、オルガンの機能に合わせたのか、なんともかったるいテンポですし、オルガンとのアンサンブルもぐじゃぐじゃ、とことん魅力が感じられないものでした。

SACD Artwork © AEOLUS

by jurassic_oyaji | 2019-02-05 23:03 | オルガン | Comments(0)