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FAURÉ/Requiem
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Mathieu Romano/
Ensemble Aedes
Les Siècles
APARTE/AP201



あの「レ・シエクル」がフォーレの「レクイエム」を録音したというので、さっそく入手してみたら、指揮者はいつもこのオーケストラを指揮していたロトではありませんでした。というより、ここでの主役はオーケストラではなく合唱団だったのです。その合唱団とは、ロトとレ・シエクルがラヴェルの「ダフニスとクロエ」を録音した時に共演していた「アンサンブル・エデス」です。彼らとレ・シエクルは言わば仲間、今回は合唱団がその仲間のオーケストラを呼んだ、という形なのでしょうね。
この合唱団は2005年に、今回の指揮をしているマテュー・ロマーノによって創設されました。メンバーは全てプロフェッショナルな歌手たちです。今回のフォーレでは、ソリストも合唱団のメンバーが務めていますから、そのレベルの高さはかなりのものがあります。
レパートリーは多岐に渡り、有名な合唱曲はもとより、非常に珍しい作品も演奏し、時代的にも現代までの5世紀に及ぶ作品を取り上げています。もちろん、出来たばかりの新しい作品を演奏することもあります。
このCDのブックレットには、44人のメンバーがクレジットされています。ただ、ここではフォーレの他にプーランクとドビュッシーの作品が収録されていますが、それぞれのメンバーが微妙に変わっていますから、曲の編成に応じてフレキシブルにメンバーを集めているのでしょう。
指揮者のロマーノは、常々ロトとの共同作業を行っていて、オーセンティックな演奏を目指しているようです。今回の録音でもレ・シエクルのメンバーはしっかりこの曲が初演された時代の楽器を使っています。ただ、ご存知のようにこの曲では何度か改訂が行われてその都度曲の編成やオーケストレーションが変わっていますから、何をもって「初演」とするかは微妙です。
ここでは、しっかり「1893年1月21日に演奏されたときの楽器編成」と表記されており、楽譜については「1893年稿」とありますから、その時点、つまり「第2稿」が初演された時になるのでしょう。厳密なことを言うと、その時には「Offertoire」の両端の「O Domine」の部分は演奏されていなかったはずですが(その時の演奏を再現したものがこちらです)、ここではそれも含めて演奏されているのがちょっと謎です。このあたりは諸説あるようですから深くは追及しないでおきましょう。
ここで実際に使われている楽譜は、何の表示もありませんがその「1893年稿」のうちの「ネクトゥー/ドラージュ版」です。これを「ピリオド楽器」で演奏したものは、そもそもこの版の楽譜で演奏されて最初に評判になった1988年のヘレヴェッヘによる録音と、先ほどのリンクの2014年のクロウベリーによる録音しかなかったはずですから、それだけでもこれは貴重なアルバムです。というか、もう一つの「1893年稿」である「ラッター版」ではそのようなピリオド志向の録音がないのは、楽譜自体がオーセンティックではないことの表れなのでしょうか。
合唱の方も、しっかり「ピリオド志向」となっているのは、ラテン語の発音が通常聴かれるものとは全く異なっていることでわかります。これは、かつてヘレヴェッヘが1900年稿(第3稿)を録音した時に行っていたことですね。
その合唱は、フランスの合唱団とは思えないほど、機能的な演奏を聴かせてくれていました。ほとんどビブラートはかけないピュアな音色で、ハーモニーは最初からピッタリ合っていますし、表現も的確です。まさに胸のすくような歌い方なのですが、逆に物足りなさを感じてしまうのは贅沢な悩みです。
それが、カップリングのプーランクの「人間の顔」と、ドビュッシーの「シャルル・ドレルアンの3つの歌」では、ガラリと変わって肉感的な表情をさらけ出しているのですから、すごいものです。ドビュッシーでは、なんと初稿での演奏、3曲目などは全く別物になっていました。プーランクでの最後の「ハイE」も完璧です。

CD Artwork © Little Tribeca・Aedes

by jurassic_oyaji | 2019-04-09 22:51 | 合唱 | Comments(0)