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タグ:プラハのモーツァルト ( 1 ) タグの人気記事
プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード
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John Stephenson(Dir)
Aneurin Barnard(Mozart), James Purefoy(Baron Saloka)
Samantha Barks(Josefa Duchek), Morfydd Clark(Zuzanna Lubtak)
TC Entertainment/ MPF-13015(DVD)



原題は「Interlude in Prague」、2017年に公開されたイギリスとチェコとの合作のモーツアルトが登場する映画です。日本で公開されたのは2017年の12月でしたが、例えば仙台では「仙台フォーラム」1館のみでの上映でしたから、その時は気が付きませんでした。2018年5月にはこのDVDがリリースされています。
これは、過去のモーツァルト映画、あの有名な「アマデウス」や、メインはダ・ポンテだった「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」と同様に、ある程度史実に基づいてはいるものの、ストーリーは完全なフィクションという作品です。
ですから、こういうものを見るときには、その「史実」と「フィクション」とをきちんと区別しておく必要があるでしょう。この場合は、「フィガロの結婚」がプラハで大ヒットしたことを受けて、モーツァルトがその地で新作を初演するために友人のソプラノ歌手ヨゼファ・ドゥシェック夫妻の別荘でその新作「ドン・ジョヴァンニ」の作曲を行い、初演にこぎつける、という設定が「史実」となりますね。
その先が、「フィクション」。そこで登場するのが「サロカ男爵」という「悪役」です。彼はプラハのオペラ劇場のパトロンで、モーツァルトをプラハに呼ぶときの旅費を支払う人という設定ですが、実はもっと重要な役割を担っています。彼は財力と権力に物を言わせて、手当たり次第に女性をナンパするという困った性癖の持ち主だったのです。自宅の小間使いなどはもうやり放題、さらには、オペラ劇場の歌手だけでなく、衣装係のお針子までもその餌食にしています。そんな、使い古しの女性たちを、自分の秘書にボーナス代わりに与えるなどという、とんでもないことまでやってます。ただ、男爵は同性には興味がないよう(それは「男色」)。
お分かりのように、ここにはその時にモーツァルトが作っていたオペラのタイトル・ロールの姿が投影されているのです。あるいは、R.シュトラウスの「ばらの騎士」に登場するオックス男爵とか。
そして、プラハでは「フィガロ」でケルビーノを歌い、次の新作ではドンナ・エルヴィラ役に抜擢された若いソプラノ歌手スザンナに、この男爵は食指を動かします。「若いころから面倒を見て、大歌手に育てたい」などと言ってますが、その下心は見え透いています。彼は、その歌手の両親を手なずけて、婚約までしてしまいます。
そこに現れたのが、モーツァルト。スザンナは、自分が歌うアリアのレッスンでモーツァルトのところに訪れ、そこで二人は恋に落ちるという寸法です。そして、そこに男爵が加わっての三角関係、もちろんモーツァルトは妻帯者ですから、これは立派な不倫という、とても陳腐なドラマの始まりですね。しかもモーツァルトは「コンスタンツェ(妻)がいないと作曲が進まない」などと勝手なことを言ってますよ。
そんな「昼メロ」には、意外な結末が待っていました。これにはちょっと驚きましたが、これもやはり「ドン・ジョヴァンニ」がらみだったのですよ。どんな結末かは、ネタバレになりますから。
当然ですが、モーツァルトが作った「フィガロ」や「ドン・ジョヴァンニ」の音楽はしょっちゅう聴こえてきます。そして、それらの間に、そんなモーツァルトのオリジナルをとても上手に使った不思議な音楽が入っています。それは「ハイブリッド」というイギリスのエレクトロ・バンドが作ったものですが、元のテーマの意味をしっかり踏まえた、とても素敵な音楽でした。
「ドン・ジョヴァンニ」が実際に上演された劇場も出てきますし、そのほかのプラハの街並みも、あの時代そのままのたたずまいで迫ってきましたよ。
あ、「ドン・ジョヴァンニ」の序曲が初演当日に出来上がったというのは「史実」ですが、それがコンサート・バージョンで、序曲が終わったところで拍手が起こったというのは、もちろん「フィクション」です。

DVD Artwork © TC Entertainment, Inc.

by jurassic_oyaji | 2019-01-29 23:21 | 映画 | Comments(0)