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EARQUAKE
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Leif Segerstam/
Helsinki Philharmonic Orchestra
ONDINE/ODE1210-2



今から20年以上前に、あるCDがリリースされていました。そのタイトルは「Earquake」、「地震」という意味の単語「Earthquake」のもじりですね。「Earth」を「Ear」に変えたということで、日本でのタイトルは「耳震(じしん)」ですって。なかなかのセンスでしたね。その時のパッケージは、こんなものでした。
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CDのケースのヒンジの部分に、なんと「耳栓」が入っているのですよ。それに対するコメントが、「お隣さんのために」というのですから、笑ってしまいます。つまり、このCDには、大音量で演奏された曲ばかりが収録されているので、それを聴くときには隣の人の迷惑にならないように「耳栓」を配ってくださいというジョークですよね。
そんな「伝説的」なCDが、一昨年に発売20周年の記念ということで、再発売になりました。残念なことに、今回はその「耳栓」は入っていませんでしたし、ジャケットも別のものに代わっていましたね。
確かに、ここではとても「やかましい」音楽が演奏されていました。注目したいのは、それらはほぼすべてが、今まで聴いたことのない曲だということです。個人的には、聴いたことがあったのはハチャトリアンの「ガイーヌ」、プロコフィエフの「スキタイ組曲」、そしてショスタコーヴィチの「黄金時代」だけでした。よくこんなものを見つけてきたな、というマニアックさには驚かされます。作曲家の名前はほぼ知っていましたが、普通に知られている作曲家でも、初めて聴いた曲がありましたね。ニルセンの「アラジン組曲」なんて、全曲聴いてみたいものです。
ただ、しょせんはアコースティック楽器の集まりであるオーケストラの音ですし、せいぜい数千人の屋内の聴衆に向けて作られたものですから、野外で何万人という人に向けて放たれるロック・バンドのPAで増幅された大音響に比べたら、なんとかわいらしいものだ、としか思えないのではないでしょうか。正直、これらのどこが「耳震」なのか、と思ってしまいました。
ところが、最後の曲になって、これまでとはまるで異質の正真正銘の「大音響」が襲ってきました。それは、アイスランドの作曲家ヨウン・レイフスが作った「ヘクラ」という曲でした。あまり難しいので、オーケストラのメンバーがしょっちゅう失敗する(それは「へくる」)わけではなく、そういう名前のアイスランドの火山の噴火の様子を音で表わした作品だったのです。確かに、噴火の際の大爆発や、溶岩が流れ出てくる不気味さがとても上手に模倣されています。そのために使われている楽器がハンパではなく、何十種類という聴いたこともないような打楽器(「サイレン」などもあります)の他にオルガンと合唱、そして電子楽器であるオンド・マルトノまでが加わって、まさに信じられないほどの「やかましい」音を出し合っているのです。
おそらく、このアルバムは、この曲を聴かせたいためだけに作られたのでは、と思ってしまうほど、その音はけた外れです。
実際、この曲は1961年に作られた後、1964年にヘルシンキで初演されるのですが、その評判は散々でした。ですから、その再演、つまりアイスランド初演は、1989年まで行われることはありませんでした。その時に録音され、アイスランドのレーベルITMからリリースされたポール・ズーコフスキー指揮のアイスランド交響楽団の演奏が世界初録音となりました。しかし、ここには「オプション」としてスコアには書かれている合唱が入っていませんでした。
その次にこの曲の録音が行われたのが、このCDに収録されているセッションです。それは1997年の1月に行われ、そこでは合唱もしっかり参加されました。つまり、これは「合唱付き」の完全な形での最初の録音だったのです。
さらに、1998年、もしくは1999年に録音されたこの曲が入っているのがこのアルバム、邵恩指揮のアイスランド交響楽団のBIS盤です。
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この3種類が、おそらくこれまでに録音されたものの全てでしょう。このBIS盤のライナーノーツで、「これが初めての合唱入りの録音」と述べられているのは、完全な事実誤認。

CD Artwork © Ondine Oy

by jurassic_oyaji | 2019-01-26 21:12 | オーケストラ | Comments(0)