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MOZART/Symphonies 40&41
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Andrew Manze/
NDR Radiophilharmonie
PENTATONE/5186 757(hybrid SACD)



マンゼと北ドイツ放送フィル(ハノーファー)は、この間までメンデルスゾーンの交響曲集をリリースし続けていましたね。それらが録音されたのは、2016年1月から2017年6月までの間でした。それと同時期の2017年2月に録音されたのがモーツァルトの交響曲第40番、そして、その後2018年の3月に録音されたのが交響曲第41番です。いずれもコンサートのライブ録音で、北ドイツ放送の制作によるものです。
もうこんな感じで、マンゼは漫然とコンサートをこなしているうちに、いつの間にかツィクルスが完成している、という幸福な環境にあるのですね。今のところ、モーツァルトに関してはこれからツィクルスに発展していくかは不明です。このアルバムの評判次第、といった感じでしょうか。
今でこそ、フツーのシンフォニー・オーケストラのシェフとして、さまざまな時代のオーケストラ作品を指揮しているマンゼですが、かつてはヴァイオリニストとして、ピリオド楽器のフィールドでとても異色なアプローチを試みていた演奏家でした。モーツァルトでもそのスタイルは変わらず、ソナタ協奏曲ではとてもアグレッシブな演奏を聴かせていたはずです。
ですから、彼が指揮者となった時には、どうしてもそのような「特色のある」演奏を期待したくなってしまいます。しかし、実際にそのような録音を聴いてみると、それはあまりにも「フツー」のものだったので、ちょっと失望してしまいました。
ただ、メンデルスゾーンを聴き続けていくうちに、どうやらその「フツー」さが、今のマンゼのスタンスなのではないか、と思うようになってきました。もしかしたら、彼はアーノンクールやノリントンの轍は踏まないようにしてきたのではないか。と。
今回のモーツァルトでは、そのあたりがとてもうまくオーケストラともかみ合っているような印象を受けます。ここには、モダン・オーケストラにピリオド楽器の演奏法を導入した時の不自然さが、全く感じられないのですね。
確かに、弦楽器はほとんどビブラートなしで演奏していますが、そこからはピリオド楽器にありがちなギスギスとしたところが全く感じられません。特に、どちらの曲でも第2楽章の弦楽器のサウンドは、ビブラートがかかっていないにもかかわらず、とても芳醇なものになっています。
そこに加わるのが、普通の奏法でモダン楽器を演奏している木管楽器のプレーヤーたちです。彼らは、きっちりしたハーモニーで弦楽器に色を施すと同時に、ソロの受け渡しでも見事な均質性を披露してくれていました。特に心地よいのがフルートのピッチです。ピリオド楽器のオーケストラでいつも不満に感じてしまうのがこのパート、確かに、そこで的確な演奏を聴かせてくれる名手がいないわけではありませんが、モダン・オーケストラの心地よさに慣れた耳には、わざわざ無理をしてそんなものを聴くこともないようにも思えてしまいます。
そんなことは、ここでは全く感じることはありません。何のストレスもなく、ほどよいストイックさを伴ったモーツァルトを味わうことができるのです。
41番になると、そのサウンドがさらに明るいものへと変わります。それは、ティンパニがとても目立つようにフィーチャーされているためです。これもおそらく、バロック仕様のチマチマした楽器ではなく(改めてホグウッドとAAMの録音を聴いてみましたが、そこではティンパニの音がほとんど聴こえませんでした)、それこそブルックナーあたりで使われるような大きな楽器なのではないか、と思えるほど、その音は迫力満点に響きます。
まるで、ファッションが一回りして、昔に戻ったようなしっとりとしたモーツァルト、しかしそこにはマンゼならではの隠し味もしっかり込められていました。例えばこの曲のフィナーレのコーダが始まる前のブリッジの部分などでは、今まで誰からも聴いたことのないような不思議な音楽が出現していました。

SACD Artwork © Pentatone Music B.V.

by jurassic_oyaji | 2019-02-26 22:48 | オーケストラ | Comments(0)